小学生にとって楽しみな夏休み。唯一悩ましい宿題の定番と言えば読書感想文ですね。どんな本を選べば良いのか、親子ともども悩むのではないでしょうか。子供の気持ちを大きく揺り動かす素晴らしい本は、その後の人生に大きな影響を与える場合もあります。今回は、親から小学生の子にプレゼントしたいおすすめの本を、学年別の子供の特徴とともにご紹介します。
子供に本をプレゼントするメリットと贈る際のポイント
子供に本をプレゼントすることのメリットとは何でしょうか。子供に本を贈る際のポイントとともに紹介します。
子供に本をプレゼントするメリットは、子供の成長のために読んでほしい本をおすすめできる点です。子供がプレゼントされる本から得られるメリットを、「精神面での成長・思い出・新しい知識獲得・繰り返し楽しめる」の観点から紹介しましょう。
【精神面での成長】
本に込められた明確なメッセージは、子供の心に響き、精神的な成長を促します。また、名作といわれる本は、大人になってから理解できる隠れたメッセージが込められたものもあります。子供は、隠れたメッセージを大人になって気づき、「別の見方ができるようになった自分の成長を知る」という豊かな体験も得られるでしょう。
【思い出】
プレゼントしてもらった本は思い出に残りやすく、ストーリーも印象に残りやすいです。小学校低学年なら、パパやママが読み聞かせることで、親子の絆を深められるでしょう。大好きなフレーズや言い回しなどを覚えて、忘れられない本になります。
【新しい知識獲得】
プレゼントされた本のテーマに応じて、新しい知識も身につきます。本から得られた新しい知識が人生を決定づける重要な要素となることもあるでしょう。
【繰り返し楽しめる】
図書館で借りた本は手元に残せません。しかし、プレゼントされた本はいつも身近にあるため、何度も繰り返し読んで楽しむとともに知識も自然と頭に入ってくるのです。
本選びのポイント
本選びのポイントは、子供が読解できる本をプレゼントすることです。子供の年齢よりも、読解力や興味の方向性などを見定めてから、本を選ぶようにします。
作品の長さや内容などで選ぶときも、学年にはこだわらず、子供の読みやすい内容の本を選んでください。本好きで長い文章が好きなら長編物語が向いています。逆に、イラストや図解など視覚的な情報を好む子供は図鑑や説明イラストの多い本にすると、興味を持ってくれるでしょう。
子供の興味のある分野から本を選ぶのもおすすめの方法です。鉄道好きな男の子には、鉄道関連の図鑑や鉄道をテーマにした物語が良いでしょう。動物好きな女の子なら、動物に関連する本を選ぶと興味を持って読んでくれます。
また、ロングセラーや定番の本を選ぶことも重要です。定番は、誰でも楽しめる作品や、長く愛されている作品が多く、当然それだけの理由があります。特に、長く愛されている作品は繰り返し読んでも新しい発見があるものが多く、大人になっても楽しめますのでおすすめです。
シリーズものの本は、読書の習慣が身に付きやすくなるメリットがあります。作品世界に没頭したり、キャラクターに対して愛着がわいたりして、読書が好きになるきっかけを作りやすいでしょう。
贈った本に興味を持ってもらうには
本をプレゼントするだけでは、そのまま放置になるかもしれません。興味を持ってもらうには、自分が読んだ感想を伝えましょう。良い感想を伝えると、子供も気持ちがそそられ、本を読む気になります。また、共通の話題を持つことで、新たに交流が生まれるでしょう。
小学校低学年におすすめの本
ここからは、小学校低学年(1年生・2年生)の特徴と、この学年におすすめの本を紹介します。
小学校低学年の特徴
低学年は小学校に上がりたてで、まだ幼さがある学年です。ひとり遊びの傾向が強く、コミュニケーション能力の発達が未熟なため、親や先生に依存する傾向があります。そのため、コミュニケーションや自立心を芽生えさせるような本がおすすめです。
小学校低学年におすすめの本
「エルマーのぼうけん」
作:ルース・スタイルス・ガネット 訳:渡辺 茂男/出版社:株式会社福音館書店
竜の子を助ける9歳の男の子エルマーの冒険譚。リュックの中に入った身近なアイテムで機転を利かせて難題をクリアしていくエルマーに、ワクワクしながらたっぷり感情移入できる読み物としておすすめです。エルマーの姿から、自立心も自然と養われます。
「かいけつゾロリシリーズ」
作・絵:原 ゆたか/出版社:株式会社ポプラ社
いたずら好きのキツネであるゾロリと、弟子のイノシシ、イシシ&ノシシの物語です。アニメにもなって日本全国に放送され、2017年には映画にもなっているためご存じの方も多いのではないでしょうか。本で読むと、ゾロリから呼びかけられたり、本の仕組み自体に仕掛けがあったりしてアニメとは別の楽しさが満載です。ページをめくるという行為が楽しくなります。低学年の子供たちに絶大なる支持を受けている名作シリーズです。
「ふたりはともだち」
作:アーノルド・ローベル 訳:三木 卓/出版社:文化出版局
2匹のカエル、がまくん・かえるくんを巡る5つの短編集です。ひとつひとつのお話がとても読みやすいため、読み聞かせの本としても愛されています。簡単な言葉で表現された物語の中に、深いテーマが潜んで考えさせられる作品です。
小学校中学年におすすめの本
小学校中学年(3年生・4年生)の特徴と、この学年におすすめの本を紹介します。
小学校中学年の特徴
中学年は知識欲が旺盛な時期で、さまざまなことに興味を持ち始めます。友達との交流も盛んになり、仲間意識が芽生える年ごろなので、仲間意識を促進する作品や子供の興味に合わせた本の選択がおすすめです。
小学校中学年におすすめの本
「はれときどきぶた」
作・絵:矢玉四郎/出版社: 株式会社岩崎書店
小学3年生の男の子が経験したちょっと不思議な物語。お母さんを驚かせるために書いた「明日の日記」がことごとく本当になります。男の子が感じるワクワク感や不安などの繊細な感情と、荒唐無稽な展開が子供の心をひきつける、そんな作品です。
「新・名作の愛蔵版 チョコレート戦争」
作:大石真 絵:北田卓史/出版社:株式会社理論社
状況証拠で無実の罪を着せられた子供たちが、仲間たちと力を合わせて大人に立ち向かい、勝利するシンプルな物語。今でも「エクレア」が思い出に残っているという大人の方も多いのではないでしょうか。読書がとても楽しくなる1冊です。
小学校高学年におすすめの本
小学校高学年(5年生・6年生)の特徴と、この学年におすすめの本を紹介します。
小学校高学年の特徴
高学年は思春期に入る時期で、男女差が現れてきます。女の子が男の子よりも大人びて見え、グループ作りや仲間割れが起きやすい時期です。また、低学年や中学年の見本になろうと、自律的な行動をするようにもなり、頼もしさも見られます。情緒が育ち、繊細な心理描写にも敏感になるため、心の機微を描いた本がおすすめです。
小学校高学年におすすめの本
「魔女の宅急便」
作:角野栄子 画:林明子/出版社: 株式会社福音館書店
宮崎駿監督が映画化したことでも有名な作品です。思春期を迎えて自立したけれど、不安で心もとない気持ちと、うまくいかないことがあっても自分でやれることはやろうとする健気なヒロイン。子供の心に共感と感動が広がる名著です。
「モモ 時間どろぼうとぬすまれた時間を人間にかえしてくれた女の子のふしぎな物語」
作:ミヒャエル・エンデ 訳:大島かおり/株式会社岩波書店
アウトローのモモが、孤独に時間どろぼうに立ち向かい、周囲の人間たちのために盗まれた時間を取り戻す物語です。思春期特有の孤独感、助けてくれる仲間、おいしい食べ物のイメージが子供の心に刻まれるでしょう。大人になると、また違った視点で読める児童文学の名作長編。
「赤毛のアンシリーズ」
作:ルーシー・モードモンゴメリ 訳:村岡花子/株式会社ポプラ社
孤児院から農家の兄・妹ふたり暮らしの家庭に養子としてやってきた赤毛のアン。おてんばで勝ち気だけれどどこかもろさも感じさせる、そんなアンの成長を見守る物語です。アンの失敗を通じて、子供たちは多くを学びます。日常生活に悩みがちな高学年の子供向けの1冊です。
子供の成長に合わせた本をプレゼントしよう
小学生にプレゼントしたいおすすめの本8選を紹介しました。子供の成長に合わせた本をプレゼントすると、子供の心に豊かな読書体験を残せるでしょう。低学年には絵本の延長で読みやすさを重視した本がおすすめです。中学年なら好奇心を満たせる物語や友情に関する話、高学年なら複雑な思春期の内面を表現した作品などをうまく選んであげてください。