子育てしている人なら誰もが関心を抱くであろう「知育」は、子供の成長に合わせて環境を用意することが肝心です。どうしても知育用の玩具や教材に目を向けがちですが、なぜ知育が必要なのか、どんな知育が必要なのかを知らないと効果的なグッズを選定することはできません。
そこで今回は、年齢に応じた知育のポイントや考え方、知育向けの玩具やアプリについてご説明します。
幼児教育で大切な知育のポイント
一口に知育と言っても、年齢によってポイントは異なります。一体どういった働きかけが知育となるのか、年齢別に見ていきましょう。
知育とは?
単なる読み書き能力だけにとどまらず、物事を自ら考える力を育てる教育が「知育」です。身に付けるべき能力は記憶力や判断力、推理力などが挙げられますが、この辺りは人によって考え方が若干異なるところがあるでしょう。その意味で、知育として何をさせるのか、どんな力を身に付けさせるのかは親を含めた教育観によるところがあります。
しかし、知育を通じて精神を含めた全体的な成長を目的とする点はおおむね共通していると考えられます。
知育の年齢別ポイント
大脳生理学や児童心理学などの観点から、年齢ごとに適した知育があります。5歳までを3段階に分けてご説明します。
・0~1歳
赤ちゃんにとって、五感で感じる全ての感覚が初めての体験となります。そのため、見る、聞く、触るなど五感を刺激する遊び自体が知育になるでしょう。たとえば、絵本1つをとっても、鮮やかな原色の形や肌触りで子供を刺激しようとするものが多いです。
つかまり立ちから歩行を始めると、ハイハイだけの時より行動範囲が大きく広がります。好奇心も旺盛になりますから、危険のない範囲でいろいろなことにチャレンジさせたいものです。
・2~3歳
個人差はあるものの、2歳過ぎになると少しずつ細かな手作業ができるようになっていきます。指や手を使う日常生活の練習として、積み木やパズルなどのように指先を扱う遊びを積極的に行わせるのがよいでしょう。
お箸やハサミなど使い方の練習が知育につながるものもあるので、知育グッズを選ぶときも、指先の動きを意識することをおすすめします。
・4~5歳
一般的にはこの時期になると、創造性や深く考える力が育ってきます。単に道具を使うだけでなく、ものを作る作業に挑戦させてみてはいかがでしょうか。たとえば、ブロックや折り紙など、単純作業の繰り返しによってさまざまな形状を作れる遊びがよいでしょう。
また、保護者や友達とごっこ遊びをすることで、想像力やコミュニケーション能力、社会性につながるとされています。
家庭でできる知育の仕方
保育園や幼稚園でも知育につながる取り組みをしていますが、まずは家庭で実践できる知育について考えてみましょう。
知育玩具を使う
漢字ドリルや計算ドリルのような教材だけが教育に役立つわけではありません。幼児向けのアイテムを扱うお店に行けば、知育を掲げた玩具がたくさん置かれていることにすぐ気づくでしょう。積み木やパズル、音の出る玩具などを与えることで、遊びながら知育になるとしています。
知育玩具ごとに目的は異なるため、パッケージや説明書などをチェックしておきましょう。多くの知育玩具は、考える力や表現力、世の中のルールを覚えるなど、それぞれ目的を持っています。
選ぶ際は、子供の年齢に合っていることを確認してください。仮に1歳や2歳の段階で4~5歳以上の玩具を購入すると、口に入れて噛んでしまい変形したり壊れたりする可能性があります。また誤飲の危険性もありますから、こうしたリスクに注意しましょう。
教材を使う
年齢ごとにさまざまな知育教材があります。絵本や図鑑、DVDなど知識や言語の習得を目的としています。日本語や算数、さらには英語の知育教材も数多く見かけます。
こうした教材を選ぶときは、子供が興味を持てること、楽しめることを最も重視しましょう。大人の観点から「英語は子供の頃から習わせれば発音までネイティブのようにできるはず」「自分は数学が苦手だったから算数は早めにやらせたい」など、つい親心で押しつけてしまいがちです。しかし、子供が嫌がってはできることもできなくなってしまいますから、好きなキャラクターが出ていたり達成感を味わいやすかったりと、始めやすく続けやすい工夫のある教材を吟味してください。
教室に通わせる
習い事の教室に通わせるのも1つの手です。どうしても家庭内だけで知育をしようとすると、子供と親が一対一で向かい合う形になりがちです。外部の刺激によって子供の知能の発達や人格形成によい影響を与えることも期待できますし、協調性や社会性、コミュニケーション能力、思考力などを身に付ける子供もたくさんいるでしょう。なかには独自のカリキュラムを組んでいる教室もあります。
教室選びに際しては、通いやすい近所のところがよいでしょう。金額やカリキュラムなどはもちろん判断材料になりますが、それ以上に子供の感覚を大事にしたいものです。大人が「素晴らしい教室だ」と判断しても、当の子供本人が楽しめなければ意味がありません。無料体験や見学会など、事前に様子を見られる機会を活用しましょう。
知育に活用できるアプリ
最近では、スマートフォンやタブレットで使える知育アプリも盛んにリリースされています。ここでは4つのタイプに分けて知育アプリを紹介しましょう。
算数アプリ
四則演算や数字の数え方、時計の読み方など数に関して知っておきたいことを効率的に学べる数遊び・計算系アプリがたくさんあります。遊び感覚で数量概念を身に付けられますし、市販のドリルやDVDより安価なので人気です。
子供の興味を引く仕掛けもたくさんありますので、学習意欲も高まりやすいです。反復学習もしやすく、大人が驚くほど短期間でいろいろな計算ができるようになっていることもあります。
パズルゲームのアプリ
子供向けのパズルゲームアプリも数多くリリースされています。大人にとっても頭の体操として人気があるのと同じように、子供にとっても「ものの形を覚える」「立体的にイメージする」などの力を養うと考えられます。なかには地図のパズルで都道府県の形を覚えるアプリもあります。
いずれにしても、子供の年齢や興味に合わせてゲームをやらせてみるとよいでしょう。夢中になりすぎないよう、定期的に休憩をとらせることも重要です。
絵本の読み聞かせアプリ
ほかにも、絵本・童話のアプリがあります。絵本や童話は置いておくスペースが必要ですが、アプリであれば場所を気にすることもありません。有名なお話であれば、大概はアプリのなかに入っているはずです。
音声のついている絵本アプリもあるため、親がつきっきりでなくても子供に読み聞かせをしてあげられます。
お絵描きができるアプリ
お絵描きや塗り絵のアプリも存在します。タブレットやスマートフォンなどの画面を使って、擬似的なお絵描きを楽しめる仕組みとなっています。絵の具や色の仕組みなどを学べるものもあります。
なかには描いた作品が動き出すような仕掛けを持つアプリもあります。
子供も大人も知育を楽しもう
知育の目的は子供に必要な力を身に付けさせるところにありますが、大前提として楽しめなければいけません。知育だからと言って、親子ともどもがんばり過ぎてしまうと長続きしにくくなるでしょう。
子供の気持ちや興味の向けられる方向を観察し、楽しめる知育玩具・アプリを与えるのがベストです。まずは日頃の子供の言動を見て、向き不向きを見極められるとよいでしょう。