読み聞かせの重要性とメリット|子供の能力と感性を育むコツとは?

幼児に読み聞かせ

まだ自分で本の読めない子供のために読み聞かせをすることは、子供の健全な発達にとって重要です。子供の語彙力や集中力、感性などを育むのに読み聞かせは最適な方法と考えられるためです。

しかし、保護者の中には読み聞かせが苦手な人、面倒に感じる人も少なくないでしょう。今回は、読み聞かせのメリットやコツについてご説明します。

読み聞かせをするメリット

まずは読み聞かせのメリットをお伝えします。保護者が本を読み聞かせすると、親子双方によい影響をもたらすことが期待できます。

子供の感受性を育む

絵本の絵を見て物語に想像をめぐらせることで、想像力や感受性を育めます。「感受性」とは、感情移入する能力と言い換えても差し支えないでしょう。絵本に出てくる複数の登場人物やストーリーに感情移入することで、感性が豊かになります。つまり読み聞かせは、子供の情操教育に役立つのです。

また登場人物とはいえ他人の境遇や感情を我がことのように感じられるようになるため、他人に対する思いやりも身に付きます。臨場感のある読み聞かせをすることで、豊かな感性を持つ子供に育つでしょう。

語彙力が身に付く

読み聞かせを通じて、語彙力が身に付きます。子供は周囲の大人が使う言葉を真似して語彙を増やしていくものですから、読み聞かせはその点でも重要です。絵本に出てくる言葉は、保護者が日常会話で用いる言葉とはやや異なります。そのため、語彙力を高めるのに絵本の読み聞かせは大切な役割を持っているのです。

語彙力は、学力の向上やコミュニケーション能力の基盤です。語彙力によって文章読解力や他人の話への理解力が高まり、自ずと国語力にもつながります。

親子間で親密なコミュニケーションを図れる

読み聞かせは、親子の貴重なコミュニケーションの機会です。絵本の世界を共有することで、親子の間には会話と異なるコミュニケーションの場が醸成されるのです。「子供が苦手だ」という人でも、絵本であればうまくコミュニケーションが図れるかもしれません。

また、親子で絵本を楽しむことで、読書の習慣を身に付けさせやすくなります。絵本を楽しめれば「読書は楽しい」という感覚を子供が持てるため、自分一人の読書行動にも移りやすいわけです。読み聞かせは、子供を本の世界に誘う入り口のような役割を果たすと考えられます。

上手に読み聞かせをするコツ

実際に子育てを始めるまで、読み聞かせをしたことのない人がほとんどだと思います。うまく読み聞かせをするコツを知りましょう。

絵本を読む姿勢

子供が集中して絵本の世界に入り込めるように、リラックスできる姿勢を取ってあげてください。親に近い位置だと、子供も安心感を得やすいはずです。子供の個人差や成長段階による違いは出てきますから、試行錯誤して子供が楽にいられる姿勢を見つけてください。

上手な読み聞かせをするための準備は、姿勢に気をつけてあげるだけでほとんど完了といってもよいくらいです。膝の上や自分の隣など、絵本を見やすい位置へ子供を座らせてあげるようにしましょう。

声の大きさ、抑揚

大人の感覚では「少し大げさかな」と思うくらい、声の大きさや抑揚を意識して読んであげてください。保護者自身が子供の頃、学校や家庭で音読をする機会があったと思います。そんなときは、気恥ずかしさもあって大した抑揚をつけずに読んでいたのではないでしょうか。子供のために読み聞かせをするときも、最初はつい一本調子で読んでしまいがちです。

しかし、小さな子供は、文字をほとんど読めません。そうなると、物語に関する情報を得るチャネルは、視覚よりもむしろ聴覚となります。さらに言えば、単語の意味をきっちり理解できないケースもあり、保護者の読み聞かせの声を一種の音楽のように聞いていると考えられます。だからこそ、声の大きさや抑揚をつけることでより多くの情報を子供に届けてあげる意識が必要なのです。

小さな子供向けの絵本の多くは、ストーリーの起承転結がそれほど明確ではありません。そのためストーリーに合わせて抑揚をつけようとするのは、少し難しいでしょう。それであれば、子供の反応を見て声の調子を変えることをおすすめします。たとえば、子供が集中していないときは声を小さめにする、集中しているときは抑揚を強調する、などです。子供が聞きやすい、保護者自身がやりやすい声の出し方を試行錯誤しましょう。どうしても難しく感じられる場合は、自治体が主催するおはなし会や保育園・幼稚園の先生の話し方などを参考にするとよいかもしれません。

絵本の選択

子供は気まぐれなので、大人が面白いと感じた絵本、よく売れている絵本でも気に入ってくれないこともあります。結局は試行錯誤で子供の好みを見つけるしかないのですが、最初は図書館職員(司書)や書店の店員に相談するのもよいでしょう。

一般論としては、なるべくさまざまなジャンル・テーマの本を読ませて絵本や童話の世界の奥深さを知ってほしいと考える保護者が多いと思います。長く読み継がれている定番の名作絵本や、季節に合う本を選ぶと「はずれ」を引く可能性が下がるでしょう。こうした絵本は、長く子供の支持を受けてきたものですし、季節行事などと合わせて本の内容を話題にできるからです。

また、いろいろなジャンルから絵本を選ぶのもよいでしょう。絵本といっても、日本や欧米の昔話、現代の絵本作家による創作絵本、お話より言葉遊びを前面に出したタイプなど、ジャンルはさまざまです。手広く選ぶことで、子供が絵本や言葉の面白さを幅広く味わえます。

読み聞かせをする際の注意点

読み聞かせは、親子双方の楽しめるものでないといけません。読み聞かせを楽しむための注意点を最後にお伝えします。

能力の向上だけを目的にしない

読み聞かせをすると、確かに語彙力や集中力などさまざまな能力を向上させる手助けになります。しかし、そうした能力の向上は子供が読み聞かせを楽しんだ結果としてもたらされるものです。能力の向上自体を最優先の目的に設定してしまうと、大人も子供も読み聞かせを楽しめなくなります。選ばれる絵本の幅も窮屈になることでしょう。

大人が義務感で読み聞かせを行うと、子供の方も敏感に察して純粋に絵本を楽しめなくなる可能性が高いです。やはり、親子で一緒に読み聞かせの時間を楽しむことが第一です。語彙力や集中力などの向上を意識しない方が、かえってよい結果をもたらします。

子供の絵本の感想には口出ししない

子供が抱いた感想を評価しないこと、そして親が先んじて絵本に対する感想を述べないようにしましょう。大人の感性は、自分の過去の経験や社会的な価値観などに影響を受けて築き上げられています。そのため、保護者が口を出すと子供の感じ方を限定してしまうきらいがあります。

学校の授業ではありませんから、読み聞かせのときには子供のそのままの感性を大切にしたいものです。子供のユニークな感じ方を、保護者も楽しめるくらいの心の余裕を持っておきましょう。

読み聞かせは親子の貴重なコミュニケーションの機会

保護者が子供のために読み聞かせをする期間というのは、意外と長くありません。最近では0歳児から楽しめる絵本も出ていますが、読み聞かせをして反応してくれるのは1歳頃からのことが多いです。4~5歳の頃には自分で絵本を読めるようになると考えると、読み聞かせはこの間の3~4年間だけとなります。もちろんそれ以上の年齢になってからも読み聞かせをしてもよいのですが、その機会は大幅に減ることでしょう。

したがって、読み聞かせは親子にとっては貴重なコミュニケーションの場です。無理のない程度に、親子でじっくり読み聞かせを楽しんでください。

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