フォグコンピューティングとは? IoT時代に注目の新ネットワークを解説

青いテクノロジー

フォグコンピューティングはIoTと密接な関係があるネットワーク手法の一つで、近年注目度が大きく増してきています。IoT(モノのインターネット)は近年急速に開発、研究が行われており、IoTの技術が実現すると、インターネット上のネットワークを介して機器を遠隔操作したり、機器の状態などの情報を収集したりすることができるようになるメリットがある一方、膨大なデータ量を扱う必要があります。

そこで登場したのがフォグコンピューティングです。フォグコンピューティングはIoTとクラウドが持つ問題を解決する一つの手法として、近年注目されています。

そこで、ここでは、クラウドやエッジといった近い概念のネットワーク手法と比較しつつ、フォグコンピューティングの特徴やメリットについてご紹介します。

フォグコンピューティングとは

IoTが増々盛り上がりを見せる中、問題点も浮上してきました。
ここではなぜフォグコンピューティングの概念が生まれたのかをご説明します。

フォグコンピューティングは、シスコシステムズと呼ばれる世界最大のコンピュータネットワーク機器開発会社が提唱した、IoTのための概念です。フォグは日本語で「霧」ですが、これはクラウド(雲)よりもデバイス(ユーザー)に近い位置にあり、かつ霧のように広く分散したシステムであることから名づけられました。

IoTはIoTデバイスについているセンサーから膨大な量のデータを送受信する必要がありますが、遠く離れたクラウドまで全てのデータを通信するのは非常にコストがかかります。そこで登場したのがフォグコンピューティングです。

データを処理するための能力をIoTデバイスのあるLAN内に置き、ネットワーク上にある分散されたストレージに、センサーから送られてくるデータを蓄積させます。その後、収集したデータの中から必要なデータのみをクラウドに送信。このようにしてネットワークコストを削減し、データのスループット(一定時間あたりのデータ処理能力)を向上させています。

フォグコンピューティングはしばしばエッジコンピューティングと比較されます。
エッジコンピューティングはフォグコンピューティングと似ていて、ネットワーク上に分散されたサーバーを用いてデータ処理を行います。各サーバーがクラウド上に必要なデータを判別して送信するので、データを最適化してネットワークコストを抑えることができます。
しかし、エッジコンピューティングはサーバーを分散配置する必要があるため、物理的なスペースの問題があります。フォグコンピューティングはこの問題を解決します。

クラウドコンピューティング・エッジコンピューティングとの違い

フォグコンピューティングはその特徴から、クラウドやエッジコンピューティングと比較されることが多いです。ここではクラウドやエッジとの違いをご説明します。

クラウドコンピューティング

ユーザーから離れた場所にあるデバイスを利用する方法として提唱されたネットワーク手法です。

遠隔で大量のデータを処理することができるので、AIテクノロジーなどで利用されるビッグデータの解析処理に強いのが特徴です。エンドユーザーのデバイスからは、クラウドサーバーが物理的にどこにあるのが分からないので、クラウド(雲)という名前がつけられました。

クラウド上のデバイスが遠くにあるので、フォグコンピューティングと比較すると処理に時間がかかってしまいます。なので、クラウドだけではIoTへの対応能力に限界が出てきています。

一方、フォグコンピューティングの場合は、データを小口化して各デバイスで分散処理するので、ネットワークやサーバーの負荷をある程度抑制することができます。

エッジコンピューティング

ネットワーク上のエンドユーザーのデバイスにより近い場所に複数台のサーバーを置き、データ処理させるネットワーク手法です。
エッジは「端」という意味で、エンドユーザーのデバイス近くのことを指します。エンドユーザーのデバイスは、私たちが普段使っているパソコンをイメージすると分かりやすいです。

クラウドよりも近くにサーバーがあり、かつ分散的にデータを処理するので効率性に優れており、データの読み書きが一時的に集中しても対応しやすい特徴があります。

しかし、エッジコンピューティングを導入する場合、分散処理するためのサーバーを置く物理的な制限や、サーバーの盗難リスクを考えなければいけません。

フォグコンピューティングのメリット

フォグコンピューティングのネットワーク手法を導入することで得られるメリットをご紹介します。

リアルタイムの処理を実現

IoTはネットワークのレイテンシ(通信の遅延時間)が最大の課題とされています。特に医療系IT、自動運転システムなどのテクノロジーやインフラの情報は、通信の遅延時間である数ミリ秒以内に収める必要があると言われており、クラウドでは対応に限界があります。

フォグコンピューティングは利用者に近い場所で構築し、小口化・分散化してデータ処理を行うので、低レイテンシでの稼働が期待できます。また、クラウドサーバーが停電などの理由でダウンしても処理を継続するよう設計されているので、システムダウンが許されないような現場での活用が可能です。

セキュリティレベルの向上

従来のIoTはクラウドとモノとの間に大きな溝がありましたが、そこにフォグコンピューティングを導入することで、脆弱性のあるIoTのセキュリティレベルを向上することができます。

例えば外部からの攻撃があったとき、システムやネットワーク、データなどが安全な状態になり、不正な侵入を防げます。これは国家・企業レベルのサイバーセキュリティに対応可能なほど強力で、LAN内への侵入を高い堅牢性でガードできます。
また、収集したデータは複数配置された安全なストレージによって分散管理されるので、ユーザーが持つデバイスにそのまま格納しておくよりも安全性を担保でき、かつクラウド上にあるデータセンターよりもデータの利用がしやすいというメリットがあります。

フォグコンピューティングはIoTを支えるテクノロジー

IoTが今後本格的に普及されることになれば、それに伴って大量の通信データを処理しきるテクノロジーの需要は増々増えていくことが予想されます。集中処理のクラウドコンピューティングでは対処できないことを可能にする技術として、フォグコンピューティングはこれからも研究・開発が盛んに行われていくでしょう。

しかし、フォグコンピューティングはクラウドを否定するわけではありません。フォグコンピューティングはレイテンシが許されない処理を担当し、クラウドはビッグデータを活用した解析処理を担当するといったかたちで、それぞれが持つメリットを生かしながら共存していくことになるでしょう。

フォグコンピューティングはデバイスとクラウドの間を埋め、IoTの問題点を解消してくれることに期待できるネットワーク手法と言えます。

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