タイピングを子供の頃から学ぶメリット|無理なく身に付けるには?

キーボードと子供の手

学校や職場などでパソコンを使用した際に、タイピングスキルがないために苦労した経験はないでしょうか。未来を生きる子供にとっても、タイピングスキルの有無は重要です。

しかし、いつからどのようにタイピングを練習させればよいのでしょうか。今回は、タイピングを学ばせるメリットやその時期、練習方法についてご説明します。

子供のうちからタイピングを練習するメリット

タイピング練習の方法を検討するにあたって、まずは子供のうちからタイピングを身に付けるメリットをご説明します。

キーボード操作とローマ字入力に慣れることができる

キーボード操作に小さいうちから慣れておくのは、大きなアドバンテージです。

キーボードは大人の手のサイズに合わせて製造されたものが大多数です。パソコンを初めて扱う子供にとってキーボードはやや大きく、操作するのが大変です。ならば、「身体が大きくなってからタイピング練習を始めればよい」という考え方もあるかもしれません。しかし、身体が大きくなる中学生や高校生になると部活や勉強などで忙しくなり、タイピング練習を始める機会を失ってしまう可能性があります。そのため、小さいうちにやっておくのがおすすめなのです。

また、タイピング練習は、ローマ字を覚えるための練習になります。小学校ではローマ字を3年生で習うことになっています。それ以前からタイピングをやっておくと、ローマ字学習でつまずくことはないでしょう。漢字の読みを覚える練習にもなります。

マスターすればずっと役立つ

タイピングスキルを子供のうちにマスターすれば、大学生になってからはレポートや論文の作成、社会人になってからは書類の作成など、大いに役立つはずです。

NECパーソナルコンピュータ社が実施した2017年の調査によると、全体の7割の大学生は自分のパソコンスキルに自信を持っておらず、人事採用担当者の約6割は大学生のパソコンスキル低下を感じているそうです。人差し指だけで操作できるスマホやタッチパネルなどの台頭によって、キーボードを触る機会が減少していることが背景にあると推測されます。

こうした調査結果を踏まえると、子供のうちにタイピングできるようになると周りと差を付けられるかもしれません。手元を見ないで打つタッチタイピングに挑戦してスピード・正確性を磨けば、作業効率が大きく向上するでしょう。勉強や仕事の効率が向上するわけですから、それこそ本人の人生に大きな影響を与えることになります。

タイピングの練習を始めるタイミングとポイント

「子供のうちにタイピングスキルを身に付けると有利」とはいえ、いつから始めればよいのでしょうか。そのタイミングと、練習の際に意識すべきポイントをご説明します。

タイピングの練習を始めるタイミング

結論からお伝えしますと、小学校中学年(2年生から4年生くらい)に始めるとよいでしょう。この時期になると、何となくでもアルファベットを読めるようになります。仮に中学受験を予定している家庭でも、この頃であればそれほど勉強も忙しくないはずです。タイピング練習に時間を費やす余裕もあるでしょう。

また、プログラミングの授業への備えという側面もあります。文部科学省は、2020年から開始される新しい学習指導要領で小学校におけるプログラミング授業の必修化を決定しました。資料によれば、情報活用能力は言語能力と同様に「学習の基盤となる資質・能力」と位置づけられています。そのため、小学校においては文字入力などの基本的な操作を習得し、プログラミング的思考を育成するのが望ましいとされています。学習指導要領の説明の中では、例として5年生の算数でプログラミングを取り入れるとしています。そう考えると、4年生までには一通りタイピングを身に付けておきたいところです。

ただし新たな試みであるだけに、教育現場で混乱が発生することも予想されます。プログラミング教育に積極的な学校、ITリテラシーのある先生に当たればよいのですが、必ずしもそうとは限りません。通った学校が運悪く、環境整備が不十分だった場合、形式的な授業に終始して実質的なスキルを身に付けることなく小学校を卒業することになるかもしれません。

学校でのプログラミング教育開始に備え、小学校中学年の頃には自宅で基本的な操作を習得できる環境づくりをしておくことが重要なのです。

タイピングの練習を始めるときのポイント

まず、ローマ字が読めない学年から練習を始めるなら、タイピングの前にローマ字の勉強が必要でしょう。最初は苦労するかもしれませんが、キーボードに触っていればローマ字も効率的に覚えられます。

正しい姿勢で正確に打てるような意識づけも重要です。いわゆる「ホームポジション」を覚え、画面に対してまっすぐ背筋を伸ばしてタイピングできるようになりましょう。スポーツと同じように、変な姿勢や打ち方の癖が付いてしまうと効率が悪いですし、骨格や視力などに悪影響を及ぼします。癖を直すのも大変ですから、正しい姿勢にはこだわりましょう。

まずは正確に打てるようになることを目指してください。慣れてきたらキーボードを見ないで打つように意識してみましょう。

ポイントは、毎日少しずつ時間を取ってコツコツと練習することです。ピアノを始めとした楽器でも習っていない限り、子供にとっては両手を同時に使う機会自体が初めてのはずです。最初はうまくいかないでしょう。それでもめげずにチャレンジして上達していく経験は、子供の人間的な成長によい影響を与えるはずです。

タイピングの練習方法

タイピングの練習方法を2通りお伝えします。家庭で学ぶか、他人に教わる方法が考えられます。

インターネットのフリーソフトで練習する

最も手軽なのは、インターネット上で利用できるフリーソフト(無料のゲーム)を使ってタイピングを覚えることでしょう。

・簡単なタイピングゲームで打ち方を学ぶ

キッズ向けのタイピングゲームはたくさんリリースされています。入力するキーボードの位置が表示されるので、それに合わせてキーをタッチするだけです。これだとゲーム感覚でキーの場所を覚えられるので、生まれて初めてキーボードを触る子供にもおすすめできます。

無料のゲームが複数種類あるので、子供と一緒に好きなものを探すのもよいでしょう。総合的なICT活用能力を問う資格試験である「ICTプロフィシエンシー検定試験(P検)」でも、無料のタイピングソフトを提供しています。また、タイピング練習ツールを無料で提供する「イータイピング」というWebサイトも存在します。

「かんたん」「ふつう」など、レベル分けがなされているため安心です。スピードにこだわる意識が出てくると、実際に文字を入力するときの効率も上がってきます。

・制限時間付きのタイピングゲームで速打ちを訓練する

制限時間付きのタイピングソフトをプレイし、可能な限り早くキーを触る練習を積むことをおすすめします。制限時間があることによって、ただタイピングを練習するよりもゲーム性が増します。また、クリアすると、制限時間が短くなったり入力する文字数が増えたりと、難易度が上がり、やりがいや達成感が生まれます。

中には単語だけでなく文章を入力するゲーム(問題)もあるため、実践的なタイピングを楽しみながら経験できます。

パソコン教室で学ぶ

保護者がついてあげられない、子供一人でパソコンを触らせられないという人は、近所のパソコン教室を利用してもよいでしょう。こういうところは高齢者向けのイメージもありますが、中には子供向けの講座もあります。

講師から、正しい指使いや姿勢をしっかり学ぶことができます。もちろん、タイピングも適切に教えてくれるはずです。

タイピングだけでなく、その延長線上の講座としてプログラミング講座を設けている教室もあるはずです。プログラミングに関心の高い保護者は、そういった教室を選ぶのがおすすめです。

タイピングは子供が身に付けるべき基本スキル

従来の学校では最低限身に付けるべきスキルとして、「読み書きそろばん」が挙げられてきました。しかし、テクノロジーの利用が当たり前になった現代社会では、これにパソコンスキルを加えてもよいでしょう。特にタイピングは、鉛筆の持ち方のような基本スキルに含めてもよいはずです。教育に関心のある保護者は、ぜひ家庭で練習させることを検討してください。

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