小学生が勉強できない理由とは?やる気を引き出す接し方のポイント

勉強中に悩む少女

小学生のうちから勉強ができなくなってしまうと、その後も授業内容が理解できない状態が続いてしまいます。子供には、授業についていく程度の学力は身に付けてほしいものです。しかし、実際には「遊んでばかりで宿題を自分からしない」「机に座っても勉強に集中しない」「あまりに成績が悪い」など、勉強をやらない・できない子供は少なくないのです。

今回は、小学生で勉強ができない理由を掘り下げた上で、その対処法についてご説明します。また、その理由の中でも保護者が気になる「学習障害」について詳しく見ていきたいと思います。

小学生の子供が勉強できない主な理由

塾に通っても家庭教師をつけても、勉強できるようにならない、勉強しない。そんな子供の問題としてよくあるパターンを4つほどご紹介します。

学習環境が整っていない

子供自身ではなく、環境が要因であるケースは少なくありません。子供は目や耳、鼻から入ってくる情報に気を取られると集中できなくなりますので、なるべく余計な刺激を与えないように学習環境を整えるだけで、状況が驚くほど好転することもあります。

勉強部屋がない場合、テレビがついていたり家族の行き来が多かったりすると家では毎日集中できないかもしれません。また勉強部屋があったとしても、部屋が散らかっていると部屋中に散らばったモノに気を取られるかもしれません。

単に視覚的な刺激が多いだけではなく、時間を決めていないのが原因であることもあります。お風呂の時間や食事の時間がある程度決まっているように、勉強する時間帯を最初に決めることで習慣化しやすくなります。

勉強に対するモチベーションが低い

環境に問題はないけれど勉強してくれない場合は、やはり子供自身に原因を求めることになります。単純に勉強したくない、勉強する理由を見出せないというのは、子供であれば仕方のないことです。

勉強が苦手で、勉強していても理解できないと先生や親に怒られてしまうために、勉強が楽しくないと感じている子供はたくさんいます。また勉強が何の役に立つのか理解できず、勉強をする必要性を感じていないから勉強しない子供も多いでしょう。

現代の子供の周囲には、楽しいことがあふれています。ゲームやマンガ、パソコン・スマホなど、ちょっとした隙間時間でさえ楽しくつぶせるツールが存在しているのです。また部活や趣味、習い事などに没頭する子供もいます。勉強以外の楽しいことに夢中になる子供は、なかなか家庭学習の習慣を定着させられないでしょう。

勉強のレベルが合っていない

学校の授業は子供の理解度にかかわらず進んでいくので、ある箇所でつまずくとその後も理解できない状態が長く続くことになります。特に、1年生や2年生などで学ぶ基礎的な内容の理解も固まっていないのに応用的な単元へ進んでしまい、授業のレベルが全く子供と合っていないというのがよくあるケースです。

たとえば、小学生のときに分数の計算や速さの単元が分からなくなり、その後中学生になって方程式の文章題を全く解けなくなる子供がたくさんいます。漢字の理解が不足しており、国語の文章読解ができない子供もいます。どの教科でも、何年も前に学んだことへの理解を前提として進んでいく傾向があるので、勉強のレベルの問題はどんな子供でも発生する可能性があります。特に小学校低学年でつまずくと、高学年以降の授業は全く分からなくなるでしょう。

優秀な教師や塾講師・家庭教師であれば、つまずいている箇所を見れば原因や対策がある程度分かるはずです。しかし、残念ながらそうした先生に担当してもらえないと、子供本人も親も苦しむことになります。

学習障害(LD)の可能性がある

「学力の低い生徒」の中には、学習障害が見つかるケースも少なくありません。「障害」という言葉が使われているので面食らう人も多いのですが、学習障害は知的発達の遅れや身体的な問題ではありません。知的発達の遅れはないのに、特定の分野で学習の遅れ、知識の定着の困難が見られる状態を指しています。

学習障害の見られる特定分野として、読み書きや計算だけではなく聞くことや話すことなども含まれます。学習障害を理解しない大人から見ると、あたかもわざと理解しないふりをしているのではないかと思われるほど理解が定着しません。しかし、学習意欲が特段低いから勉強できない、勉強しないわけではないのです。こうした無理解が家庭でも学校でも続いて、子供を長く苦しめるケースは多くあります。

勉強できない小学生の子供に対する向き合い方

勉強できない理由は、子供によってさまざまです。ここでは、子供への一般的な向き合い方についてご説明します。

子供に合ったやり方を探す

勉強できない理由や適切な対処法は子供によって異なりますから、試行錯誤して子供に合った方法を一緒に探るしかないのです。長い目で見てあげてください。

また子供が勉強できないと、どうしても親(特に母親)と子供が衝突しがちになり、問題の解決が行き詰まってしまいます。学校の担任の先生やスクールカウンセラーなど、専門の人を交えるとよいでしょう。

勉強できないことで子供を責めない

親は子供の勉強状況を理解していますし、勉強の重要性もある程度理解しています。そのため、子供が勉強に取り組んでいないとつい感情的になって、子供に厳しい言葉をかけてしまいがちです。

しかしこれでは、勉強に対するマイナスイメージを子供に植え付けてしまい、一層子供を勉強嫌いにしてしまいます。あまり知られていないことなのですが、多くの子供は勉強ができない、テストで点が取れないことに対してストレスを感じています。決して「どうでもいい」と諦めてしまっている子供は多くないのです。

短期的な結果だけで子供を責めず、むしろ問題解決のために寄り添ってあげる姿勢が求められています。

子供を根気強くサポートする

大人の根気が重要です。現在の単元が理解できていない場合は、その前提となる以前の単元に立ち戻って復習すべきケースがほとんどです。「どこまでさかのぼればいいのか」とうんざりさせられることも少なくありません。

小学生の勉強は、中学生や高校生で学ぶ内容の基礎となります。できていない部分を見逃さず、できるだけ小学生のうちに理解することはきわめて重要です。中学生以降になると、親が教えようとしても拒否される可能性が高まります。親が勉強内容を理解し、子供に伝わりやすいようかみ砕いて教えてあげられるのは小学生のうちだけかもしれません。

親の仕事などの関係で直接教えることが難しければ、塾や家庭教師の利用を考えるべきでしょう。親以外の人間が入ることで、モチベーションも理解度も上がるケースは多々あります。

少しずつ難しい課題に挑戦させる

子供の理解度と問題の難易度がずれていると、どうしてもモチベーションが下がります。なるべく少しずつ難易度が上がるように調整してあげるとよいでしょう。基本の問題が完全にできるようになってから応用へ進むようにするのです。

大人から見ると「そんなのは当たり前だ」と感じるかもしれませんが、子供からすると基本問題と応用問題のレベルの差も分かりませんから、理解のあやふやなうちに応用問題へ突入してしまい打ちのめされることが多いのです。簡単な問題を解く回数を増やして「できる」を実感させられると、子供に自信が付いていきます。

学習障害の可能性がある小学生の特徴と対処法

小学生が勉強できない理由の一つとして、学習障害が挙げられます。学習障害の特徴と対処法について、もう少し詳しくご説明します。

読み書きができない

学習障害の中でも、読字障害(ディスクレシア)や書字障害(ディスグラフィア)の子供が多くいます。読字障害とはひらがな・カタカナや漢字の記憶、文章読解に困難を抱えること、書字障害とは文章を読んで理解はできるものの、書くことに困難を抱えることを指しています。

読字障害や書字障害は、小学校に上がるまでなかなか発覚しません。小学生になると文字の読み書きをする機会が増えるために、ようやく学習障害が発覚するわけです。たとえば、文章を読ませていて単語や文節の途中で区切って読むことがあまりに多かったり、「め」と「ぬ」と「ゆ」などひらがなの形を混同したり、助詞の「を」と「お」の区別がつかなかったりするのが、読字障害・書字障害の典型です。ただし、こうした問題が見られるから絶対に学習障害というわけでもありません。

対処法としては、子供と地道に読み書きのトレーニングをするしかありません。単に理解の遅れであり、ゆっくり努力すれば習得できる可能性もあります。遅くてもいいので文節を区切って音読する、見本の字を何度も見返しながら書くなど、その子のペースで学習を進めさせましょう。

最近では、パソコンやタブレットを使って文字を覚えるトレーニングもできるようになりました。また「ビジョントレーニング」という訓練で読字障害が緩和されるケースもあります。これは眼球を動かす力を鍛える訓練で、視覚機能を高める効果があるとされています。子供によって有効な対処法が変わってきますので、学校と連携していろいろな方法を試す必要があるかもしれません。

学習障害を告白する有名人は少なくありません。学習障害を克服する人も多いですし、克服しなくても問題なく生活している人も多くいます。長い目で見て対処していきましょう。

計算ができない

2桁以上の数字が扱えない、繰り上がりの計算ができないなどの問題を抱える子供の中には、算数障害の兆候が見られるケースもあります。また計算はできても、読字障害のために文章問題が全く理解できないケースもあります。

計算ができない場合は、パソコンやタブレットの活用を通じてゲーム性を取り入れると学びやすくなります。文章問題が解けない場合は、文章を絵や図に置き換えるなどやり方を工夫するべきでしょう。やはり地道に試行錯誤を続ける必要があります。

勉強できないことに焦りを感じる必要はない

できて当たり前に見える学習内容を子供が全く理解できていないと、親としては焦ってしまうことでしょう。しかし「勉強できない」というのは仕方のないことであり、子供自身が勉強に意欲を出せているのであれば実はあまり問題ではありません。

できないことをできるようにさせるためには、親が焦らずに見守ってあげることが大切です。いろいろな方法を試して子供に合ったものが見つかれば、むしろそれは子供が何かを学んでいく上で一生役立つでしょう。「急がば回れ」を肝に銘じて、子供と接してあげてください。

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