「最近なんだか子供が勉強をしてくれない……」
「机には向かうものの、なんだか集中できていないようだ……」
こうしたお悩みの原因は、子供の“やる気”がなくなってきているからかもしれません。一度やる気をなくすと、子供は自分でなかなかそれを取り戻せないもの。そこで今回は、子供がやる気を失う原因と、やる気を効率的に引き出す方法についてご紹介していきます。
子供がやる気を失いやすい原因
まずはなぜ子供がやる気をなくしてしまうのか——その原因について探っていきましょう。いくつかのシチュエーションをピックアップしてみます。
親からのプレッシャーが大きい
「もっとがんばれ!」「努力が足りていないからだ!」。ご両親からすれば、こうした言葉は叱咤激励のつもりかもしれません。しかし、マイナスな言葉を投げかけられた子供は、どのような気持ちになるでしょうか? 「勉強ができないから、自分はしかられているんだ……」「がんばっているつもりなのになかなか成績が伸びない……勉強って難しい」。こうした思いから、勉強に対してのネガティブなイメージばかりが子供に植え付けられてしまいます。誰であれ、嫌いなものにはやる気が出ないもの。ご両親からのプレッシャーが大きすぎないか、一度振り返ってみましょう。
勉強の方法がわからない
勉強が行き詰まることが多い場合、そもそも自分が何を理解できていないのかわからないというケースが多く見受けられます。「わからないところがわからない」という状態ですね。これが続くと、子供は問題を解けるイメージが沸きにくくなります。問題が解けないと勉強は楽しくありませんし、達成感も得られません。その結果、やる気をなくしてしまい、勉強から逃げ出すクセがついてしまうことも。「どうしてわからないの?」ではなく、ひとつ前の段階まで、さかのぼってみて、どこで行き詰まったかを確認するように導きましょう。
簡単にできてしまう
理解力がある子供の場合、勉強は難しいものではありません。そもそも学校の問題は、“仕組み”に納得できれば誰でも解けるようにできているので、これは当たり前です。しかし、知識や理解を定着させるには反復が必要です。これをコツコツできる子供は、しっかりとした実力がつくと言えるでしょう。一方で、努力せず問題が解けてしまう子供は、その反復を退屈と感じてしまうようです。「もうわかっていることなのに、どうして何回もやらなくちゃいけないの?」と思い始めると、やる気が損なわれてしまうことも。また、勉強は努力なしでできるもの、というイメージを持つかもしれません。こうなると、いざ難しい問題にぶつかったとき、その問題を解決できなくなる可能性があります。
ほかに気になることがある
注意力が散漫になると、集中力が落ちます。すると勉強にも気が入らなくなり、成績も伸びないでしょう。これも子供がやる気をなくす要因のひとつです。たとえば学校で心配事があったり、とても楽しみなことがあったりすると、その傾向が現れる可能性が高まります。そのほかにも、メールやSNSといった現代の子供ならではの要因も考えられるでしょう。心配事を解決してあげたり、勉強中だけはメールやSNSを見ないよう注意したり、勉強に集中できる環境を作ってあげることが、子供のやる気につながる重要なポイントなのです。
子供のやる気を引き出す方法
何らかの理由で子供がやる気をなくしてしまった場合、ご両親はどのような対応をするのが正解なのでしょうか? もちろん答えはそれぞれの子供によって異なりますが、いくつかのヒントをご紹介します。
プレッシャーをかけすぎない
よかれと思ってした行動が、実は子供のプレッシャーになるということは往々にしてあり得ます。あまり過剰にならず、まずは優しく見守るということを試してみましょう。もしもそれで子供が勉強をしなくなっても、様子を見ることに留めて、すぐに叱るようなことは控えましょう。また、勉強中も余計な声がけをしたり、必要以上に視線を送ったりするようなことも控えるようにしましょう。そして、子供が自分から勉強をはじめ、しっかりとやり遂げたときにはきちんと誉めてあげてください。
メリハリを付けて勉強させる
わが子にはできるだけ勉強をしてほしいと願うのは自然なことです。しかし、あまりに長時間机に向かい過ぎている、もしくはそれを強いているようなら、いったんその習慣を見直すようにしましょう。より効率的に勉強を進めるためには、リフレッシュの時間も必要です。ときにはゲームを思いっきり楽しむ場面があってもよいでしょう。一方で、遊びに熱中しすぎているようなら、きちんとその時間をコントロールしてあげてください。
子供の気持ちに耳を傾け、目標を明確化させる
「今やっている勉強は、何の役に立つのだろう?」。こうした思いを抱いた経験はありませんか? それは子供も同じこと。「どうしてこんなに毎日がんばらなくてはいけないんだろう」という疑問が沸いているようなら、その目的を示してあげることが大切です。「将来は何になりたい?」といった漠然としたものでも構いませんし、「次のテストでどんな成績を取りたい?」でも構いません。子供自身が何をしたいのかにしっかり耳を傾け、それに対してアドバイスを送ることもご両親の大切な役割と言えるでしょう。
目標を達成したら誉める
子供のやる気を伸ばすにあたって、“誉める”ことは非常に重要です。「よくがんばったね、えらいね」といった言葉を投げかけられた子供の心には、「自分はがんばれたんだ」という自己肯定感が生まれます。それが勉強という行動に結びつくと、自然に「学びは良いこと」というイメージが生まれるでしょう。ただし、常に誉め続けるのではなくタイミングも重要です。できれば子供が達成感を覚えているとき——つまり、何らかの目標を達成したときに、しっかり誉めてあげることが大切です。
さらに上の目標を意識させる
「簡単すぎてつまらない」という言葉が子供から出ていれば、それはチャンスです。勉強をする姿勢はすでにできているわけですから、モチベーションのコントロール次第で、よりやる気を出してくれるでしょう。そこでおすすめなのが、さらに高い目標を子供に意識してもらうこと。「こんな人になりたい」「これができるようになりたい」と思ってもらえるようなコト・モノを示すことができれば、日々の勉強のなかで自分なりの目標が立てられる子供に育つことでしょう。なお、外から刺激を受けるという意味では、学習系イベントに足を運ぶのもおすすめです。
子供のやる気を引き出す本
子供にやる気を出してもらう方法をご紹介してきましたが、すべての子供に当てはまる方法とは限りません。そこでここからは、子供のやる気を引き出す方法が分かる本をご紹介します。上手な褒め方や難しい場面での声がけの方法などが掲載されているので、きっと役に立つでしょう。
『子供の「自信」と「やる気」をぐんぐん引き出す本』原田 綾子/株式会社マイナビ
元小学校教員で、子育て講座の講師も務める著者が、子供の「自信」と「やる気」にフォーカスし、そのための「勇気づけ」を紹介している本です。自身の母親としての経験を基に執筆されているため、より実践に即したヒントが満載。また、読者の心に寄り添った表現がなされているので、子育てに自信をなくし気味の親御さんにもおすすめです。
『アドラー心理学で「子供のやる気」を引き出す本』星 一郎/株式会社三笠書房
『嫌われる勇気』などでも描かれているアドラー心理学をベースとした子育て本。とは言え難しい理論ばかりではなく、誰にでもわかりやすい書き方がされているのが特徴です。内容紹介には叱り方や励まし方といった言葉もありますが、考え方の中心にあるのは“勇気づけ”。そして、親子がわかり合うための方法論について丁寧に解説してくれています。
『子供を勉強好きにする20の方法』西村 創/株式会社WAVE出版
進学塾講師という経緯を持つ著者が教えてくれる「勉強を好きになる方法」が書かれた一冊。シチュエーションやポイント別に20の項目で構成されているため、それぞれのご家庭に合った解決策が見つかるはずです。すぐに実践しやすいのもうれしいポイント。実際の生徒さんとの会話文も多いため読みやすいのも特徴です。
子供のやる気は育てるもの
子供がやる気をなくしてしまうのには何らかの理由があります。ご両親にとっては些細なことかもしれませんが、それが机に向かう気力を失わせていることもあるでしょう。まずは原因と向き合い、どのような対処をすればいいのかをじっくりと考えてあげてください。加えて、今回ご紹介した方法や、書籍に書かれているテクニックなどを試してみることからはじめましょう。一度育ったやる気は、生涯にわたって子供の財産になるはずです。