シンギュラリティとは?人工知能が人間の知能を超えるとどうなる?

人工知能

未来を大きく変える技術として今最も注目されているのがAI(人工知能)ですが、それと同時に「シンギュラリティ」も提唱されています。シンギュラリティとは、人工知能が発達することによって人間の知能を超えるポイントのことで、今の子供たちが社会人として生活する頃に起こると考えられています。ここでは、シンギュラリティが生活や社会に与える影響について解説していきます。

シンギュラリティ(技術的特異点)とは

現在の日本では、シンギュラリティについて正しく理解している人は非常に少ないと考えられます。ここではシンギュラリティが何なのかを紹介していきます。

シンギュラリティの意味

シンギュラリティ(Singularity)はもともと「特異点」を意味する言葉で、数学者や物理学者の間で頻繁に使われている概念をいいます。わかりやすく言うと、ブラックホールの中をある地点(特異点)まで進むと重力が無限大になるという現象と同じです。
技術的特異点についても、シンギュラリティと呼び、人工知能が発達することによって人間の知能を超えるポイントを指します。目覚ましい速さで加速しているコンピュータ進化から、シンギュラリティは今後20年以内に起こると予測されています。
これはアメリカの発明家レイ・カーツワイルが発表した「The Singularity is Near」という著作によって広まり、シンギュラリティを超えることで人間の生活は大きく変化するといわれているのです。

シンギュラリティが世界にもたらす影響

カーツワイルは著作の中で「シンギュラリティは2045年までに起こる」と予言しており、シンギュラリティを超えた時点でテクノロジーは指数関数で進歩すると考えられています。このスピード感は折り紙を二つ折りにし、更に二つ折り、また二つ折り…とくり返すのと同じで、かつて人間が経験したことのない、予測不可能な速さを意味します。
そうなれば、人工知能自体が自らの頭脳で永続的に進化し、人間が手を加えなくても改良、進化が可能となります。これまで人類や生命は40億年をかけて進化してきましたが、シンギュラリティによってその進化スピードが無限大となり、テクノロジーが人間の手から完全に離れる時代が到来するでしょう。そしてこの人工知能の開発こそが人類最後の発明となるのです。
しかし、それは単純に考えればロボットと人間が共存するということ。これまで人間にしかできなかった仕事が次々と機械化され、いつしか人間の存在意味がなくなることだって十分に考えられます。そのため、「人間が人工知能に支配されるのでは…」という意見を持つ人も多いのです。

シンギュラリティによって衰退する可能性がある仕事

人間の仕事が機械化されれば職を失う人は増えます。ここからは、どんな仕事が機械化されやすいのかを見ていきましょう。

規則的な動きが必要とされる仕事

シンギュラリティによって世の中の仕事はほぼ半減するといわれています。その中でも特に衰退傾向が強いのが規則的な動きをする仕事、つまりルーチンワークです。深く考える必要のない単純作業はロボットの方が経費を抑えられるということもあり、近い将来に機械化される可能性が高いです。
具体的にはレジ業務や会計、商品の発・受注、データ入力、工場の作業員、テクニカルライターなどが良い例といえるでしょう。
また、最近話題となっている車の自動運転ですが、全ての車で自動運転が可能になればタクシーやトラックの運転手も必要なくなり、人工知能による無人タクシーが普及するとも見られています。

一定の基準に基づき判断、分析する仕事

2010年頃から注目されている、機械が自動的にデータの特徴を抽出するという学習方法の「ビッグデータ・デイープラーニング(深層学習)」が、今後多くのビジネスシーンに導入されると考えられています。
ディープラーニングでは、人間の脳では抽出・分析が難しいビッグデータと人工知能を組み合わせることで、短時間で大量の仕事がこなせるようになります。そのため、一定の基準に基づいた判断をするような仕事は、まさにAIの得意分野といえるのです。そして、意外にも機械化されやすい仕事として分類されている中には、弁護士や公認会計士といった法律に関わる職業も含まれています。これは企業法務や交通事故、ローン審査といった明確な事実が存在する事例においては、基準に基づいて判断や分析を行うこともあり、既に人工知能の導入が進んでいます。
膨大な過去のデータや知識の中から必要な情報を選択するという作業をAIが行うことにより、人間が対応するよりもはるかに早く処理ができ、企業としても「高効率・低コスト」という理想的な雇用を実現できるのです。
しかし、法律に関わるシーンというのはこれまで人間が対面で対応してきた業務であり、「対人ならではの話しやすさ」や「人としての温かみ」といった魅力がありました。これが全てロボットに変わってしまえば、何らかのストレスを感じたり、考えをうまく伝えられなかったりする人が増えると予測されます。そのため、人間が人工知能をどこまで受け入れられるのかというのが大きな課題として挙げられるのです。

シンギュラリティによって需要が増すと考えられている仕事

シンギュラリティによる失業者の拡大は、日本のみならず世界中で懸念されています。しかし、逆に需要が増えると考えられている仕事もあるのです。

相談内容を解決する仕事

シンギュラリティによる機械化が進んでも、人の話や悩みを親身に聞く必要がある仕事は生き残るとされています。たとえば、カウンセラーやコンサルタント、小学校教師などがこれに該当し、人の感情や考えを読み取る複雑なプロセスは、さすがのAIでも難しいのです。
しかし、世界ではAIカウンセラーの開発が進んでいるのも事実で、人間の表情から感情を読み取り、「喜び・悲しみ・怒り・驚き・軽蔑・嫌悪・恐れ・無表情」がどの程度現れているかで判断できるレベルにまで到達しています。また、人によっては「人間よりもロボットの方が包み隠さず話せる」と考えるため、長い目で見ると「100%機械化しない」とは言い切れない部分もあります。

クリエイティブな仕事

クリエイティブとは、独特のアイデアによって新しいものを創ることをいい、「創造的」といった言葉も使われます。この「アイデア」や「新しいもの」は、人工知能ではなかなか創り出すことができず、人間だからこそできることだと言っても過言ではありません。
たとえば、芸術作品を産み出すアーティストは自分だけの独特な表現を持っており、これを機械が代替するのは不可能だと見られています。
また、タレント業なども独自のキャラクターやネタでアプローチしていく仕事ですので、その場の人の反応や雰囲気を考慮することが重要です。そのため、AIのプログラムやインターネットの活用で代替するというのは現実的ではなく、シンギュラリティを超えても生き残れる仕事だと考えられます。

今後は誰も経験したことのない激変期を迎える

もともとは人間が創り上げたテクノロジーが、今まさに人間をも超えるという劇的な進化の途中、シンギュラリティという言葉を世に広めたカーツワイル自身も、シンギュラリティにどれほどの影響力があるのかは計り知れないと言っています。
今の子供たちがより良い暮らしをするためにも、AIとの共存に向けて日々テクノロジーの情報をチェックしていきたいものです。

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