現代社会において「ビッグデータ」という言葉をよく耳にするようになりましたが、具体的にどんなものなのかを知らない人も多いはずです。ビッグデータは今や日本経済に必要不可欠なものとなっており、子供たちもいずれビッグデータを活用する時が来ることでしょう。
ここでは、ビッグデータがどんなものなのかを活用事例と一緒に紹介していきます。
ビッグデータの定義について
ビッグデータという言葉に明確な定義があるわけではありませんが、具体的にどのようなデータを指しているのか抑えておきましょう。
ビッグデータとは
「ビッグデータ」とは、従来のデータベースでは保管や解析が難しい巨大なデータ群をいい、企業やシステム業界の間でマーケティング用語として使用されています。
しかし、ビッグデータは単純にデータの量が多いという意味だけではなく、日々増えてゆく記録の時系列性やリアルタイム性、さらにそのデータの即時分析といった複雑なデータまで含まれます。
そのため、ビッグデータを管理・分析・処理することによって売り上げ向上に繋がったり、見えない実態を可視化し、事業の改善や拡大に役立てたりすることもできるのです。
ビッグデータの主な種類
膨大、且つ複雑なデータ群となるビッグデータは、主に3つの種類に分類されます。
・消費者の購買データ
消費者の購買データというのは、お店やレストランなどにおいて利用者が過去にどんな商品を購入したかや、何を一緒に購入したかといった履歴を記録したものです。このデータを活用することで「売れる商品」と「売れない商品」が明確になり、無駄のない発注に繋がります。また、自社商品も全て登録されるため、商品の選別や配置を検討したい時などにも役立てることができます。
・顧客や従業員の行動データ
効率的な企業運営を行うために、顧客や従業員の行動パターン分析にもビッグデータは活用されます。
たとえば、店内における顧客の移動ルートを分析し従業員の配置を見直すことで、より顧客満足度の高いサービスを提供できます。また、何かトラブルがあった際にも、誰がどこで何をしていたかを明確にすることができ、問題の早期解決にも役立ってくれるのです。
・インターネット上の閲覧データ
インターネットを利用していると、「以前検索した商品が画面に出てきた!」なんてことはありませんか?
これは、ビッグデータによってインターネットの閲覧履歴が管理されているからです。ビッグデータには閲覧したページや検索パターンまでが細かく記録されており、このデータを活用することでユーザーがどんなものに興味をもっているのかを知ることができます。また、閲覧履歴から人気商品のランキングを表示したり、サイトへの誘導を行ったりすることで、自社の売り上げに繋げることが可能です。
ビッグデータを活用するメリット
私たちは、あらゆる情報が詰まったビッグデータを活用することで、さまざまなメリットを得ることができます。
実態の可視化
私たちの視覚には限界があり、全ての物事を目視によって確認するのは不可能です。しかし、商品の仕入れや人員の手配などは個人の判断によって行われるのが一般的で、判断を誤れば商品が売れ残ったり、無駄な人件費が発生したりすることになります。
一方、ビッグデータには私たちが目にすることのできない実態まで細かく記録されているので、見えない情報を可視化することができるのです。
数値の予測
ビッグデータには日々発生するあらゆる情報が膨大に記録されていることから、過去のデータを元に株式市場や店の売り上げなどをあらかじめ予測することが可能です。この予測は人が行うよりも的確、且つ早い段階で知ることができ、ビジネスへの悪影響を最小限に抑えることができます。
ビジネスの最適化
人の考えには感情や知見が入り乱れており、ビジネスシーンにおいて的確な判断ができないことが多々あるものです。しかし、ビッグデータには感情がなく、常にありのままの現状を教えてくれます。
そのため、ビッグデータを活用することで改善すべき事業のポイントや必要なサービスが明確になり、顧客に対してより良いサービスが提供できるようになるでしょう。
ビッグデータの具体的な活用事例
今や日本経済のあらゆるシーンで活用されているビッグデータですが、ここでは具体的な活用事例を紹介しましょう。
顧客の動向を分析
現代では多くの観光地でもビッグデータが活用されており、場所別に観光客の多い時間帯を分析できるようになっています。さらに、家族や友達、カップルといった属性まで分析を行い、顧客のニーズに合わせたセールスアプローチを実施しているところも増えています。
また、最近では携帯電話の位置情報データを元に外国人観光客が多く訪れるスポットを割り出し、日本文化にまつわるイベントが多く開催されるようになりました。
クラスタリングによる現状把握
クラスタリングとは、さまざまなデータを機能やカテゴリ別に分類することをいいます。ビッグデータの中にあるバラバラな情報の中から、類似したデータをグループ分けする方法なので、人によるグループ分けよりも客観的に分別することができるのです。
主に物販を行っている企業では顧客のクラスタリングを行っており、現状売れ行きの良い商品やジャンルを明確にすることなどに活用しています。
売れ筋の分析
一般的に、売れ筋商品の分析を行う際には「ABC分析・重点分析」という方法が用いられており、多くの企業ではビッグデータによって顧客や商品をランク分けし管理しています。これは大手電機メーカーでも導入されている方法で、ランク分けすることによって優良顧客が好む商品や売れ筋を明確にし、ターゲット顧客に対して的確なプロモーションを行っているのです。
適切な在庫管理
現在、在庫管理倉庫の多くは10年ほど前に開発された「WMS」という物流倉庫管理システムで運営を行っていますが、近年ではオーダーの少量化や法令・業界内基準の変更に伴い、在庫管理の大幅な改良が求められています。
そんな中増えているのがビッグデータを倉庫運営に活用する方法です。この方法で、膨大なデータ保存やアクセスが可能になりました。オーダー情報を早い段階で確認できるようになり、あらゆるケースに余裕をもって対応できるようになりました。
顧客の声を分析
ある保険会社では、これまで1日3,000件もの顧客の「声」を目視でチェックし、苦情と思われるものを割り出すのに週当たり約21時間を費やしていました。そこで、顧客の声をより迅速・正確に分析するためビッグデータを活用したシステムを導入しました。
これにより年間60万件にも及ぶ顧客の声を自動分析し、苦情に対してもきめ細やかな対応を実現しています。
GPS分析
国土交通省の観光庁ではビッグデータを活用した観光復興を行っており、GPSの位置情報によって観光客の行動や実態の調査を行っています。この調査結果により観光客がその地域に何を求めているのかが分かります。
ビッグデータと共に生きる時代
ここまで紹介したように、現代社会にとってビッグデータはなくてはならない存在であり、これからの日本経済を支える基盤ともいえます。そして、今の子供たちが社会人になるころには、ビッグデータで想像もつかないことができる時代になっている可能性もあるでしょう。
プログラミングや人工知能が普及していく中、日常に垣間見るビッグデータに触れてみるのも面白いかもしれません。