子供に必要な考える力とは?思考力を鍛えるために親ができること

クエスチョンマークを浮かべる子供

学校の成績が良いことは、親御さんにとって大きな安心材料になるでしょう。しかし、それはあくまで「勉強ができる」というだけの可能性もあります。教科書に載っている知識だけで人生がうまくいくとは限りません。もっと大切なのは、問題を解決するための「考える力」です。今回は、子供に必要な考える力と、それを養うために親ができることについてご紹介します。

「考える力」とは何か?

そもそも、「考える力」とはどのようなものなのでしょうか? 学習能力との違いや、求められる要素などについて解説します。

勉強ができる=考える力がある、ではない?

勉強は「考える力」を育むのに重要な要素のひとつです。しかし、それができるだけでは、本当の意味での「考える力」は身に着かないかもしれません。教科書で学んだことは、あくまで生きていくうえでの基礎。それをいかに応用して問題を解決できるかが、将来を左右すると言っても過言ではないでしょう。そういう意味で、勉強だけでなく「考える力」を身に着けることは重要です。

大切なのは問題解決能力と応用力

「考える力」としてあげられるもののひとつに「問題を解決する力」があります。何か問題が発生した際、それを解決できるマニュアルが必ずしもあるとは限りません。その際には、自分自身で考え、困難を乗り越える必要があります。この際のポイントは、解決策を複数考え出し、そこから正しい選択をして実行に移せることです。ここまでを1セットとして、「考える力」としましょう。

また、解決策を考えるためにはこれまでの学習を基礎にする必要があります。そして、その基礎を応用し、さまざまな分野に当てはめる力が求められます。こうした状況に合わせて自分の知識を応用していくことも、「考える力」の一部であると言えるでしょう。

考える力の重要性とは

それでは、「考える力」を身に着けることが、子供にどのような影響を与えるのか? そして、その重要性について、具体的に考えていきましょう。

自分の意思に自信が持てる

「考える力」が備わっていることは、自信につながります。一方、この力が弱いと、自分の選択を信じ切ることができず、何をする際にも疑心暗鬼に陥ってしまう可能性があります。「このやり方で本当に合っているのだろうか?」、「もしかして、前段階で間違ってしまったのでは?」など、こうした不安は、目的を見失う原因にもつながるでしょう。その結果、さまざまなことに対するモチベーション低下を招く可能性もないとは言えません。

また、選択ができない子供は他力本願の傾向が強くなります。たとえば「親の言うことを聞いておけば大丈夫」といった気持ちが芽生えると、一見物わかりのよい子に見えますが、自分で物事を決められない子供に育つかもしれません。小さな頃から「考える力」を養い、自信を付けることは子供の将来にも大きく関係するのです。

コミュニケーション能力に影響する

「考える力」は、対人関係にも影響を及ぼします。コミュニケーションは経験の応用の連続。非常に短いスパンで、決断をしていかなくてはなりません。こういった場合、自分の思ったとおりの接し方ができないと、そこに苦手意識が生まれます。その結果、人と接するのが不得意な、引っ込み思案な子供になってしまうことも。

困ったことがあるときに人へ相談ができないと、問題解決の糸口が見つかりにくくなります。また、相手の理解に頼ってしまうばかりだと、良好な人間関係を築きにくくもなるでしょう。「考える力」を身に着けることは、子供がコミュニケーション能力を身に着け、人に配慮できる力を育むことにもつながるのです。

環境適応能力を高める

コミュニケーション能力が希薄な子供は、新しい環境に飛び込んだときに適応できない可能性があります。小学校までは友達がいたのに、中学校になってからいつも一人でいる……これは、それまで周りにコミュニケーション能力の高い友達がいたおかげで、人間関係がうまくいっていた例と言えるでしょう。それまで問題なく行えていたコミュニケーションが急にうまくいかなくなると、だんだん気持ちが後ろ向きになり、場合によっては不登校に発展するケースも想定されます。

しかし、人生には何度も環境変化が訪れるものです。進学はもちろん、就職や転属、転職もありえるかもしれません。人はその都度、新たな人間関係を築くことを求められます。ここで上手に立ち振る舞えるかは、生きていくうえで非常に大切な要素と言えるでしょう。こうした際に備える第一歩が、「考える力」を身に着けることなのです。

考える力を育てるために親ができること

「考える力」を身に着けることは、人生において非常に大切な要素です。では、この力を育てるにはどうしたらよいのでしょうか? 以下から、ご家庭でもできる方法について3つご紹介します。

言葉を正確に伝える力を鍛える

「考える力」は日常生活のなかでも十分に身に着けられる能力です。そこで、まず意識させたいのが「言葉」。コミュニケーションの基本は言葉を発することですから、この点について普段から訓練をしておくのがおすすめです。

具体的な方法のひとつに、「単語のみで会話させない」というものがあります。たとえば食事中に子供が「水」と言ったとしましょう。おそらく、ほとんどの親御さんはその意味を理解できるはずです。しかし、ここで意図を汲み取るのではなく「水をどうして欲しいの?」と聞いてあげてください。こうして文章で会話させることで、自分の意思を正しく伝える習慣が身に着きます。

うまくいかない理由や原因を考えさせる

子供が抱える問題は、親にとってそこまで深刻ではないかもしれません。少しアドバイスをすれば解決できるものばかりというケースもあります。しかし、そこですべての解決策を提示してあげるのではなく、子供が自分で考える余地を残してあげるのが、「考える力」を育むのには有効です。

子供がトラブルを持ち帰ってきた際は、その状況についてじっくり話を聞きましょう。その時は、自分の考えで原因を決めつけないことが、ポイントです。次に、どうしたいのかを聞いてください。そして、どうするかが決まったら、それを達成するための方法を子供と一緒に考えましょう。親はあくまでサポート役。間違った方向に進まないよう導きながら、子供が自分で考えられるように、育てていきましょう。

時間を見て行動する習慣を身に着けさせる

家族で出かける際、子供がなかなか支度をはじめないとつい「早くしなさい!」と叱ってしまう——そんな経験をお持ちの親御さんも多いでしょう。もちろん、注意を促すことは大切なのですが、その意味が子供にきちんと伝わっているでしょうか? どうして急ぐ必要があるのかが分からないと、子供としても納得できないかもしれません。

こうした際に有効なのが「時間」に対する意識向上です。時計の針を指さし、「あの針が10を指すまでに着替えようね」といった具体的な指示は、子供にとっても分かりやすいでしょう。そうして時間を意識する習慣があれば、「何時までに何をしないと間に合わない」といった感覚が身に着きます。次第に、ご両親からの指示がなくても自分で考え、行動に移せるようになるでしょう。これも、「考える力」を養うのには効果的な方法です。

「考える力」は必ず役に立つ能力

このように、「考える力」を身に着けることは、人生をうまく渡って行くうえで非常に大切な要素です。幼い頃から習慣化させておけば、誰かに指示を出されなくても、自分で行動できる子供に育つでしょう。ただし、前半でもお伝えしたとおり、勉強に励むだけではこの能力は身に着かないかもしれません。今回ご紹介したような方法を使いながら、親御さんもサポートしてあげましょう。

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