2020年から小学校で必修化されるプログラミングですが、プログラミングの必要性や小学校から学ぶメリットがいまいちわからないというご両親も少なくはないでしょう。
経済産業省の発表によると、今後IT社会が進むうえで技術者不足が想定されており、プログラミングの必修化はこれを補う目的でもあることがわかります。
そこで今回は、幼いうちからプログラミングを学ぶメリットや、需要の高いプログラミング言語について紹介します。
プログラミングの需要は高い?
さまざまなものがシステム化されている現代、プログラミング技術はもはや必要不可欠といえます。ここでは、IT市場とプログラミングの関係を見ていきましょう。
拡大するIT市場
私たちが暮らす日本では、2000年頃から急速にインターネットサービスが普及しました。国内ITサービス市場は現在も成長を続けており、3%を超える成長率を記録した2014年~2015年ごろには、市場は5兆円規模にまで拡大しています。
これにより、現代では1人1台スマートフォンを保有するのが当たり前となり、多くの企業が最新の技術を活用したシステムを導入しています。
例えば、プログラミングを活用したアプリ開発や業務のデジタル化、効率化などがこれにあたり、プログラミングが使用される市場は年々拡大している状況です。
また、IT技術の変化というのも激しく、常に新しい技術や商品が誕生していますから、今やIT社会はもの凄い速さで拡大しているといえるでしょう。
高まるプログラマーの需要
AIやシステム開発に力を入れる企業が増える中、プログラミングスキルのある人材は非常に重宝されます。特に最近では、専門知識や難易度の高い開発経験を持ったプログラマーが多く求められており、業界を問わず引く手あまたとなっているのです。
Web業界では「プログラマーの寿命は35歳まで」といった説もありますが、実際には40歳、50歳でSEをやっているという人もたくさんいます。
また、高齢化社会問題を抱える日本では今後の技術者不足が懸念されており、「早いうちから将来のエンジニアを育てよう」という目的もあり、小学校でのプログラミング学習が必修化されます。
需要の高いプログラミング言語とは?
プログラミングにはさまざまな言語が存在しますが、その中から今後も需要が高まると思われるものを紹介します。
Java
JavaはAndroidアプリやデスクトップアプリ、ゲームの構築といった幅広いシーンで使われているプログラミング言語で、企業のバックエンド開発などにも活用されています。
OSに依存せず汎用性が高いという特徴を持っていることから、あらゆるデバイスで利用できる、世界的に人気の高い言語です。
またJavaは、プログラム言語をコンピュータ向けの言語に変換するソフトウェア「コンパイラ」を実装した言語のため、RubyやPHP、Pythonなどの言語に比べて処理速度が速いという特徴があります。
そのため、特にシステム業界に人気があり、開発案件については廃れることがないでしょう。
JavaScript
JavaScriptは「Java」と名前が似ていますが、全く異なるプログラミング言語です。
JavaScriptは大多数のWebブラウザと相性の良いスクリプト言語で、Webサーバー上のアプリやデスクトップアプリの開発に多く使用されています。
私たちの身近なモノとしては、スマートフォンアプリや、バーチャル空間をつくり出すVRアプリなどがありますが、近年は活用されるシーンも拡大しており、IoT分野や人工知能(AI)の開発などにも使われるようになりました。
JavaやC♯、C言語などの他のプログラミング言語の場合、プログラムを動作させるためにはコンパイラやVisual Studio、Eclipseといった開発環境を整える必要がありますが、JavaScriptの場合は、ブラウザとテキストエディタがあれば動かせます。こういった手軽さから初心者でも学びやすく、さまざまな人に使われています。
Python
Pythonは、少ない言語で手軽にプログラムが書け、コードが読みやすいという特徴を持っているプログラミング言語です。
比較的新しいプログラミング言語だと思われがちですが、開発されたのは1991年と意外と古く、デスクトップアプリやWebアプリの開発、Google、YouTube、Instagramなどのサイト構築にも使用されています。
また、今話題の人工知能(AI)や教育分野、データ解析の分野でも広く使われているため、世界的に今後も需要が増すと考えられています。
Pythonでは、複雑なプログラムでも読み間違い・書き間違いを減らそうという考えのもと開発された言語で、覚えやすく、扱いやすいという魅力もあります。そのため、これからプログラミングを学ぶ初心者にもおすすめの言語だといえるでしょう。
C言語
C言語は1972年に開発されたコンパイル型のプログラミング言語で、主にシステムソフトウェアの共通言語として使用されています。
古くから存在している言語で、その後誕生したObjective-CやC++などの多くのプログラミング言語に影響を与えたことでも知られています。現在でも人気が衰えない安定した言語だといえるでしょう。
ただし、C言語でプログラミングをする場合はCPUやメモリといった部分まで意識する必要があるため、コンピュータの仕組みをある程度理解している必要があります。
また、複雑なコードを用いる場合もあるため、初心者が学習するには難易度が高いとされています。
Ruby
Rubyは、まつもとゆきひろ氏によって開発された、コンパイラを必要としないスクリプト言語です。
オブジェクト指向でもあるため、大人数での開発や同じようなモノをいくつも作る際に最適で、無駄なく直感的にコードが書けるという特徴があります。
また、Rubyで利用する「Ruby on Rails」というフレームワークには、コマンドを数回入力するだけでWebサイトが自動生成できる機能であり、開発工程を大幅に短縮できるとして注目されています。
クックパッドや食べログ、HuluなどでRubyが使用されています。
子供にプログラミングを学ばせるメリットとは?
小学校のプログラミング必修化には「将来の技術者育成」という目的だけでなく、子供たちにとってもさまざまなメリットがあるといわれています。
プログラミングを幼いうちから学ぶメリット
文部科学省によると、幼いうちからプログラミングを学ぶことで、理論的思考や発想力、問題解決力が身につきやすくなるとされています。
プログラミングは、少しでもルールに反した組み方をしてしまうとエラーが生じてしまうため、論理的に考えてコードを書く必要があります。
また、どのようにコードを組み機械を動かすのか、どのようにプログラムすれば課題が解決できるのかを考える必要がありますので、さまざまな思考や感覚が培われるのです。
また、早い段階でコンピュータ操作に慣れることができますから、IT化が進む時代にも柔軟に対応していけるでしょう。
プログラマーの将来性
一時期、労働環境や人材の需要と供給などから「プログラマーの将来性は危うい」といわれていましたが、現在ではプログラマーの市場価値は高くなり、企業での労働配分率も上がっている傾向にあります。
そして、今後さらに技術革新を続ける企業にとって、プログラミングスキルの需要はかなり高いと見ることができるでしょう。
しかし、近年では自動でプログラミングが組まれるツールも開発されています。また、外部からスペシャリストを呼ぶのではなく、内部の社員を育てようという動きもあり、これからのプログラマーには専門的なスキルというよりも「総合的なスキル」が必要とされる見方もあります。プログラミング技術だけではなく、プロジェクトマネジメントやマネジメントスキルといった「ビジネススキル」も併せて身につけることが大切です。
子供のプログラミング学習は大きな将来性に繋がる
習得が難しいといわれるプログラミングをあえて幼いうちから学習することには、将来の技術者を育成するだけでなく、子供自身の論理的思考や発想力、問題解決力が身につくというメリットもあります。
とはいえ、近年ではプログラミングがしやすい環境が整ってきているため、プログラミング技術以外のビジネススキルも重要視されるでしょう。
そのため、プログラミングだけに専念するのではなく、他の科目や人間関係などをバランスよく学んでいくことが大切だといえます。