フィンテックとは?金融×テクノロジーがもたらす企業と暮らしの未来

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ニュースや新聞、インターネットメディアなどで「フィンテック」という言葉を目にする機会が増えています。何となく「ネットを使った金融」「仮想通貨のサービス」程度の知識はあっても、具体的にフィンテックがどういう意味なのか、どういった事例があるのか、今後広まっていくのかなど体系的な知識を持っていない方もいらっしゃると思います。

そこで今回の記事では、フィンテックの基礎知識と導入事例をご紹介します。フィンテックの基本から歴史、具体的なサービスの事例と可能性など、読んでいただければ必要な知識を網羅できます。

今さら聞けないフィンテックの基礎知識

最初に、フィンテックの基本的な定義と歴史的背景について説明します。フィンテックが金融サービスの歴史を覆すようなポテンシャルを持つことを理解しましょう。

フィンテック(FinTech)とは?

フィンテック(FinTech)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた言葉です。情報技術を駆使した各種の金融サービスを総称してフィンテックと呼んでいます。

フィンテックを活用したサービスにはさまざまあります。たとえば決済や送金、資産運用、ビッグデータを活用した金融サービスのマーケティングなどです。インターネットが国境を問わず世界中を結びつけているのと同じように、フィンテックも国境をこえてサービス展開されることが多いです。従来の銀行や証券会社などの金融機関よりサービス展開の対象地域が広いこともあり、フィンテックを「ネオバンク」と呼ぶこともあります。

フィンテックの中でも、「ブロックチェーン」という技術を活用したサービスが存在感を増しています。ブロックチェーンはデータベースの一種であり、データを中央のサーバで管理するのではなくユーザが分散型の台帳データとして管理します。従来の金融機関のような中央集権的な管理を脱し、個人がデータ管理を担うのです。

ブロックチェーンは、ビットコインに代表される仮想通貨の管理・運用に使われていることで注目を集めました。ただし仮想通貨だけに適用される技術ではありません。銀行や決済サービス、食品流通など幅広い分野での実用化を目指して調査や研究が続けられています。

フィンテック誕生の背景

金融機関による情報技術を活用したデータ管理やサービス開発の事例は、何十年も前から存在していました。しかしフィンテックという言葉が広まりだしたのは、2008年のリーマンショック以降のことです。

アメリカの投資銀行リーマン・ブラザーズの経営破綻をはじめとするリーマンショックによって、多くの金融機関で経営危機が表面化しました。既存の金融機関に対する社会的な批判も広がり、結果として便利でリーズナブルな金融サービスへのニーズが高まったのです。

こうした社会的な背景に加えて情報技術が発展したことで、フィンテックの登場を促す環境が整いました。その結果、ICTを活用した新たな金融のビジネスモデルを打ち出すベンチャー企業が世界中で数多く誕生しました。幼い頃からインターネットに親しんだミレニアル世代が成長し、ユーザの多くが情報技術を活用した金融サービスの利用に抵抗感を抱きにくくなったこともフィンテックの普及を後押ししました。

フィンテックのサービスの特徴は、低コストで運営できることやデータ改ざんのリスクを下げていることです。たとえばブロックチェーン技術を利用した国際送金サービスが実用化されると、中央サーバが不要となることからコスト削減が可能となります。またデータが分散管理されているため、その改ざんも現実的にはきわめて困難です。情報技術の進展は、金融サービスの大きな課題だった「コスト」と「データ管理」の常識を大きく変えたのです。

フィンテックの導入事例

フィンテックの具体的なサービス事例について、「決済」「送金」「仮想通貨」「会計」「投資・資産運用」の5つに分けて解説します。

決済系サービス

フィンテックが私たち消費者に最も見えやすい形で現れているのは、決済系サービスと言えるでしょう。主な決済手段の現金、クレジットカードの他に、より利便性の高い形での決済を可能とするサービスが次々と登場しています。

決済系のフィンテックサービスは、消費者のみならず事業者の利便性も高めています。たとえば、スマートフォンに機器を取りつけるだけでクレジットカード決済ができるサービスがあります。これを「モバイル決済」と呼びます。

かつては大きなレジスターを店舗に取りつけないとクレジットカード決済を導入できなかったので、高い導入コストや大きさ(持ち運び不可)が導入の高いハードルとなっていました。それが小さな機器と携帯の電波さえあれば簡単にクレジットカード決済に対応できるようになったことで、消費者のみならず事業者の利便性も大きく向上したのです。

またWebサイトにクレジットカードの決済機能を簡単に実装できるサービスも存在します。セキュリティを担保する形でのデータ入力や管理・保護を可能としているため、小事業者でもECサイトの運営ができるようになりました。

送金サービス

かつては銀行や郵便局でしか送金サービスを利用できませんでした。こうした機関の利用可能時間は平日の日中に限られているため、多くの社会人にとって利便性が高いとは言えませんでした。また海外への送金となると、高い手数料と長い送金時間がネックでもありました。

フィンテックを活用した送金サービスは、これらの課題を解決しています。フィンテックの送金サービスはインターネットでいつでも利用できますから、平日の日中のみならずいつでも送金できます。また世界中の個人の送金ニーズをマッチングさせることで、手数料の削減を可能としたサービスもあります。ビットコインなどの仮想通貨やブロックチェーン技術を利用した送金もできるようになっています。

仮想通貨サービス

決済や送金、そして投機の手段として仮想通貨が登場しました。2009年のビットコイン実用開始を皮切りに、数千種類とも言われる仮想通貨が開発されています。2017年には日本のみならず世界中で仮想通貨ブームが起き、価格が高騰するとともにテレビCMや広告が登場して注目されました。

2018年になって仮想通貨バブルは収束に向かったものの、仮想通貨の可能性自体が失われたわけではありません。価格の変動が激しいことから決済手段としての利用は一部にとどまるものの、飲食店や電気量販店など仮想通貨(特にビットコイン)が利用できる店舗も増えてきています。

会計サービス

日々の記帳や確定申告など、会計・経理サービスにもフィンテックが深く入り込んでいます。これまでは経理を専門とした従業員が事務を担当してきましたが、人手不足やコスト削減ニーズの高まりなどの中で情報システムやツールに置き換わる傾向にあります。

中でも、日常的な仕訳や請求書管理、それらをとりまとめる形での確定申告書作成などの煩雑な事務を自動化するサービスが多く登場しました。フリーランスや小事業者など、経理にリソースを割けない企業や個人を中心に広く利用されつつあります。

投資・資産運用サービス

投資や資産運用の世界でも、フィンテックが普及しています。資産運用を専門機関に一任したい投資家のために資産を丸ごと委託できるサービスもありますが、やはり手数料の高さがネックとなっています。

そこで登場したのが「ロボアドバイザー」です。投資家の資産や収入、リスク許容度などを入力するだけで、それらのデータに見合う分散投資をしてくれます。価格変動に合わせて投資した商品の割合を調整する「リバランス」も自動的に実施するため、投資家は手間なく資産管理を任せられます。

フィンテックが切り拓く企業と暮らしの変化

フィンテックのメリットを、企業側と消費者(社会・経済)側に分けて説明します。これまで紹介した導入事例の領域ごとに、どういった利便性があるのでしょうか。

フィンテックがもたらす企業の変化

企業側の変化をコストやビジネスのあり方、サービスの質などから見てみましょう。

・融機関の雇用人数が減る

まず金融機関の人的コスト削減に、フィンテックは大きく貢献します。たとえば決済や送金などが自動化されれば、銀行の窓口要員は大きく減らせます。またペーパーレス化が進むことで消耗品のコストも削減できます。
現在は大量の新卒採用を実施しているメガバンクですが、一部には今後の新卒採用を減らすと明言しているところも出てきています。

・金融機関とIT企業との連携が進む

フィンテックはITで金融サービスを変革するビジネスモデルですが、その開発と管理・運用を金融機関やIT企業が単独で抱え込むのは現実的ではありません。むしろ金融機関とIT企業が連携してサービス開発を進めることにより、従来の金融業界の枠が変化すると考えられます。
たとえば金融機関とIT企業が連携することで、クラウド型の家計簿・会計アプリや個人間送金のサービスなどがすでに開発されています。

・ビッグデータの活用でサービスが向上する

情報技術の進展によって、大容量のデータを保管・分析できるようになりました。いわゆる「ビッグデータ」の活用によって、金融サービスの質の向上が期待されます。
もともと金融機関には、個人情報をはじめ資産、収入、過去の運用や決済の履歴など大量のデータが保管されていました。こうしたビッグデータを金融関連のマーケティングに活用し、若者世代や女性など特定の層をターゲットとした金融サービスの開発が可能となりました。従来のサービスについても、データに基づく形で質の向上を図ることができます。

・ブロックチェーンにより、ビジネスの進め方が変わる

ブロックチェーンは、フィンテック全般への実用可能性を秘めています。セキュリティを担保する形でのデータ管理ができるため、決済・送金・資産運用などさまざまな分野への適用が考えられるのです。
たとえば、取引先との契約のやり取りを自動化できる可能性があります。契約書は外部に漏れてはいけないので、メールで送受信しない方針をとっている企業は少なくありません。そこで、契約書の内容をブロックチェーン上で管理して取引先とやり取りすれば、情報漏えいの心配も紙の契約書を紛失する心配もなくなります。またブロックチェーン上で契約条件をプログラミングしておけば、承認の手続きも自動的に進められるのです。
このように専門性が高く煩雑な事務手続きを要する作業を自動化できれば、ビジネスの進め方に変革がもたらされるでしょう。

フィンテックがもたらす暮らしの変化

消費者や社会にフィンテックがどのような影響を及ぼすのか、その可能性を見ていきます。

・キャッシュレス化が進む

まずキャッシュレス化の進行が期待されます。カードを持たなくてもスマートフォン一つで決済できるお店が増加すれば、現金の使用率が減って決済の利便性が高まります。
他にも、すでに「割り勘アプリ」が登場しています。現金による割り勘だとトラブルやミスが生じやすいのですが、アプリを活用することで大人数の食事や飲み会の後でもスマートに会計を済ませられます。

・生活費を抑えられる

節約や家計改善にもフィンテックは役立ちます。
たとえば家計簿アプリは、カードのアカウントや口座情報を連携させることで支出と収入を自動的に表示します。無駄遣いが可視化されますので、自ずと節約へのモチベーションが高まるというわけです。
また自動車の安全運転を続けることで、保険料の割引につながるサービスも出ています。タブレットやスマートフォンなどで、運転技術を測定する仕組みを使っています。

・会計がスムーズに行える

会計ソフトの普及で、面倒で煩雑な会計事務が楽になります。
クラウド会計アプリを使えば、日々の記帳が自動化されます。領収書を印刷・入力すればデータ化できますから、大量の紙の領収書を整理しきれず困ることもなくなります。
日々の会計事務がスムーズになるため、確定申告の作業もシンプルになります。会計ソフトは、それまでクラウド内に蓄積してきたデータを確定申告書のフォーマットへ自動的に転記してくれます。

・株式投資が楽にできる

投資判断をAI(人工知能)がサポートするため、一時の感情で誤った判断を下す可能性が減少します。
先ほど紹介したロボアドバイザーにおいては、株価の値動きをAIが自動的にチェックし、最適と判断した投資が行われます。その判断は投資家のリスク許容度や好みなどに基づいているので、違和感は生じにくいと考えられます。
株価チャートに張りついて投資判断に頭を悩ませなくてもよくなるため、本業に集中できます。

フィンテックが変える世界であなたはどう生きる?

フィンテックとしてさまざまな金融サービスが存在すること、そしてそれらのサービスがビジネスや消費者、そして社会を大きく変える可能性を持つことを説明してきました。

まだ一般的に普及しているとは言い難いサービスもあるため、フィンテックの可能性はこれから大きく花開く可能性を秘めていると言えます。一方でフィンテックに置き換えられる仕事も数多く出てくることも予想されますので、その動向には注目する必要があるでしょう。

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