人工知能の歴史|第一次ブームからビッグデータの第三次ブームまで

分析されている脳

近年ではさまざまなシーンで人工知能が活用されるようになりましたが、現代の人工知能技術に至るまでには長い歴史があります。人工知能開発では「第一次ブーム」「第二次ブーム」「第三次ブーム」という3つのブームと、「冬の時代」と呼ばれる低迷時期が交互に訪れており、現代は第三次ブームとして再び脚光を浴びているのです。

今回は、そんな人工知能の歴史についてご紹介しましょう。

人工知能の基礎知識

「人工知能」と聞いて具体的な活用シーンをイメージできる人は少ないと思いますので、まずは人工知能の基礎知識や活用例についてみていきましょう。

人工知能とは

人工知能とは英語の「Artificial Intelligence」のことで、これを略して「AI」と呼ばれています。一般的に、人間が行う作業や活動をコンピュータに模範させる技術のことを指しますが、用途によって「特化型人工知能」と「汎用人工知能」の2つに分類されます。

特化型人工知能は人間の活動の一部を模範させるもので、私たちが普段使用している人工知能は大半が特化型人工知能です。一方、汎用人工知能は人間の活動全体を模範させるもので、人間同様の能力を持つとされています。

 特化型人工知能:人間の活動の一部を模倣する
 汎用人工知能:人間の活動全体を模倣する

人工知能の活用例

人工知能は、私たちの生活のさまざまなシーンで活用されています。

たとえば、SiriやGoogleアシスタントといったスマートフォンの音声アプリケーションは、人工知能によって聞き取った言葉の意味を理解し、適切な行動を判断することができるのです。また、近年話題になっている自動車の自動運転についても、人工知能技術によって危険な物体と交通障害を起こさない物体の判断を可能としていますし、自動で掃除を行ってくれる掃除ロボットでも、障害物のある場所などの情報収集をしながら適切な方法を判断しています。

こういった機能はいずれも特化型人工知能となり、汎用人工知能についてはまだ実用化を目指している段階です。

人工知能の研究が歩んできた歴史

現代は、一昔前では考えられなかったような技術がさまざまなシーンで活用されていますが、人工知能はどのようにして進化を遂げてきたのでしょうか。

第一次人工知能ブーム:1950年代後半~1960年代

最初に人工知能の研究が始まったのは1950年代です。そこから10年ほどの間にコンピュータを使った推論や探索が可能となり、特定の問題に対して答えを提示できるようになりました。

1964年には人工対話システムの「ELIZA」が開発され、これが人工無能(チャットボット)の元祖だともいわれています。

ただ、この時の技術ではパズルを解いたり、数字の定理を証明したりすることは可能でしたが、さまざまな要因が絡み合っているような現実社会の問題は解くことができず、ブームは徐々に衰え冬の時代へと突入するのです。

第二次人工知能ブーム:1980年代~1990年代半ば

次のブームは、第一次人工知能ブームが過ぎ去ってからおよそ20年後の1980年代にやってきます。この時期は、コンピュータが推論するために必要な情報を、コンピュータが認識できる形で与えることで、専門家のように判断ができる人工知能が誕生しました。これに伴い、日本では政府による大型プロジェクト「第五世代コンピュータ」も推進されました。

しかし、当時はコンピュータに必要な情報を全て人の手で与えなければならなかったため、実際に与えられる情報を「医療」「法律」というように、特定の領域に限定する必要があったのです。これに対し、コンピュータは取り込んだ知識でしか推論しませんから、実用化は困難となり、1995年頃から再び冬の時代を迎えます。

第三次人工知能ブーム:2000年代以降

2000年代から始まった第三次人工知能ブームでは、ビッグデータと呼ばれる大量のデータを用いて人工知能が自ら知識を習得する「機械学習」が実用化されました。さらに、これまで人間が与えていた知識の特徴(特微量)を人工知能が自分で見つける「ディープラーニング(深層学習)」が登場し、人工知能が新たな概念や例外にも対処できるようになったのです。

そして、飛躍的な進化となる第三次人工知能ブームは現在も続いています。

人工知能の未来

第三次人工知能ブームでは、これまでにないスピードで飛躍的な進化を遂げていることから、今後も人工知能のさらなる活躍が期待できます。

人工知能が人間の仕事をサポート

人工知能が自ら知識を習得できるようになったことから、今後は人間の仕事をサポートすることが可能です。そのため、これまで人間が行っていた単純作業の多くは、今後人工知能に置き換えられる可能性が高いといえます。

しかし、こういった人工知能の実用化は便利である反面、このままいくと人工知能が人間の脳を超えてしまうという問題があるのも事実です。人工知能関係者の間では、このまま人工知能開発が加速することで、2045年頃には人工知能が人間の知性を超え、シンギュラリティ(技術的特異点)が到来するといわれています。

シンギュラリティとは、人工知能が人間の知性を超えることにより、私たちの生活に大きな変化が起こるという概念をいいます。また、今後人工知能は指数関数(倍増しの法則)的に進化するとの仮説があり、2045年には人類が予測できない域に達する可能性もあります。

このように、人工知能の進化は便利になるだけではなく、「2045年問題」という大きな懸念点もあるのです。

「デザインシンキング」が重要

いままで人間が行っていた仕事を人工知能に置き換えるとなると、「人間の仕事がなくなってしまうのではないか」という不安が残るのも事実です。そのため、単純作業を人工知能が代替したとしても、最終的な判断は人間が行うシステムをつくることが大切です。そして、人間が主導権を握るためには「デザインシンキング」が重要になるといわれています。

デザインシンキングとは、デザイナーの思考過程をモデル化した考え方を指すのが一般的ですが、人工知能業界では人を中心にした発想のことをいいます。人間の生活や行動、感情を考察して課題を抽出するほか、問題解決のための試作を繰り返すといった考え方によって、手間はかかっても本質をとらえた解決策を生み出すことができるのです。

さまざまな苦難を乗り越えてきた現代テクノロジー

人工知能の開発は1950年代から始まり、3度の人工知能ブームと2度の冬の時期を繰り返して進化を遂げてきました。そんな中、人工知能技術はブームを繰り返すごとに進化の速度が上がり、このまま開発が進めば2045年頃には人間の知性をも超えるといわれています。

人工知能の発展は私たちの生活をより便利にしてくれる反面、2045年問題という大きな不安もかかえており、今後の開発ではどれだけ不安要素を取り除くことができるかというのが課題となるでしょう。

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