子供向けインターネットセキュリティ対策で親が注意したいポイント

こたつでパソコンを操作する子供の手

デジタル機器の普及に伴い、大人はもちろんのこと子供も簡単にインターネットを利用できる時代となりました。それに伴って、トラブルや犯罪に巻き込まれる事例も増えています。子供のセキュリティ対策は、今や身の回りのみならずサイバー世界でも必要不可欠なのです。特に、自宅で留守番のタイミングなど一人でいるときが心配という保護者は多いことでしょう。

そこで今回は、子供向けのインターネットセキュリティ対策についてご紹介します。具体的な対策、保護者が注意すべきポイントなどを分かりやすくお伝えします。

親が知っておきたいインターネットセキュリティの基礎知識

子供向けのセキュリティを守るためには、まずは親自身が知識を身に付ける必要があります。主な対策方法をご紹介します。

インターネットセキュリティの重要性

現代社会では、大人のみならず子供までもが当たり前のようにパソコン(PC)・スマートフォン(スマホ)・タブレット・携帯ゲーム機を扱うようになっています。内閣府が2017年に行った調査によると、調査対象となった0~9歳の子供の57.4%が何らかのインターネット接続機器を利用していました。利用割合は年齢が上がるとともに上昇しており、特に7歳以上ともなると軒並み80%以上となっています。つまり現代の小学生の中で、利用したことのない子を見つける方が大変なほどインターネットは普及しているのです。中でも、スマートフォンの利用率が最も高くなっています。

子供の間にインターネット接続機器の利用が広まったことで、関連犯罪も増えていると考えられます。警視庁が小学5年生から高校3年生を対象として2015年に実施した調査では、機器への依存度が高い子供の3割以上が不正請求やなりすましなどのインターネットトラブルを経験していることが明らかになりました。より年齢の低い層でも、トラブルの遭遇は増えていることが推測されます。

以上を踏まえると、子供がインターネット上の犯罪やトラブルに巻き込まれる事態を防ぐためにも、セキュリティ対策が必要です。そして大人も子供も、セキュリティに関する正しい知識を得る必要があります。

主なインターネットセキュリティ対策

子供も含めたインターネットセキュリティ対策には、主に2種類が考えられます。ひとつは、ウイルスやマルウェア、スパイウェアなどの侵入を防ぐとともに、悪質で危険なサイトへのアクセスを未然に防ぐような機能です。具体的には、フィルタリング機能の使用やアンチウイルスソフトの導入、パスワード設定を含めた機器へログインする際の認証機能の強化(多要素認証の使用)などが挙げられます。

他にも、子供がアダルトや暴力、陰湿な悪意など好ましくない情報に触れることを防ぐ機能が必要です。こうした情報が直接的に機器にダメージを与えたり子供を傷つけたりしないケースもありますが、子供の心身の健全な成長にとってきわめて有害であることは間違いありません。児童ポルノなど、性犯罪へ子供が巻き込まれるリスクも高いです。

悪質なWebサイトへのアクセスを防ぐため、「ペアレンタルコントロール」と呼ばれる機能がソフトウェアや機器の設定の中に存在します。特定のWebサイトの利用・閲覧制限をかけたり、機器の利用時間自体を制限したりすることで、子供のインターネット依存と好ましくない情報との接触を予防することが可能です。有害サイトに勝手にアクセスしようとすると、保護者に通知がいくサービスもあります。他には、保護者と子供のルール作りによって、LINEやTwitterなどSNSの利用制限を設ける家庭もあるでしょう。

子供向けインターネットセキュリティ対策が必要な場面

インターネットに触れさせないのは難しいので、どんな操作をしているときこそ特にインターネットセキュリティ対策が求められるのか、考えてみましょう。

スマートフォンの利用

インターネット接続機器の中で、子供が最も身近に触れるのがスマートフォンです。したがって、スマートフォンを使っているときが注意すべき場面ということになります。

スマートフォンには、契約したユーザーの個人情報が記録されています。氏名や住所、電話番号などはもちろん、特に注意すべきは位置情報です。そのスマートフォンがどこにあるのかを示す情報が入っているので、写真をインターネット上に公開しただけで悪意を持った人に居場所を特定されてしまう恐れがあります。位置情報を保存しない、表示しないようにできますので、不安な人は設定を確認しておくとよいでしょう。

位置情報と関連して、移動情報が自動保存されるケースもあります。スマートフォン端末だけではなく、インターネット上のクラウドサービスにデータが保存されるケースが増えています。やはり不要な場合は設定を変更したり、場合によっては使っていないアプリを削除(あるいはインストールしない)したりといった対策が必要でしょう。

最近では、携帯電話会社も子供の利用を想定してフィルタリングサービスやアクセス制限を設けたプランや機器などを提供しています。そうしたサービスの活用も検討してみてください。

SNSの利用

SNSを通じて、想定しない相手に個人情報や位置情報などを知られる危険があります。ストーカーや脅迫の被害、写真の無断使用などの被害が報告されています。

子供がSNSを利用する場合は、あらかじめプライバシーに関する情報の設定に配慮するよう教えてあげるとよいでしょう。投稿内容やプロフィールの公開範囲を家族や友人だけに制限すれば、知らない人に見られる危険性は低くなります。このアドバイスの意味がよく伝わらないようであれば、そもそもSNSを利用させないのが安心かもしれません。

メールの利用

メッセージアプリの利用により減少しつつあるメールの利用ですが、それでも有害サイトやウイルスへの誘導先として悪用される機会があります。特に、フィッシング詐欺やウイルスを忍ばせた添付ファイルなどに子供が気づくのはきわめて難しいと考えられます。

迷惑メール対策としては、特定のメールアドレスからしかメールを受け付けない、URL付きのメールの受信を拒否する(開かないようにする)など、細かく設定を変更するのがおすすめです。

子供向けインターネットセキュリティ対策のポイント

ここまでご紹介した以外にも、対策のポイントはいくつか考えられます。最後に、保護者が覚えておくべきポイントをご説明しましょう。

インターネットの利用制限を行う

セキュリティソフトやフィルタリングを活用して、インターネットの利用制限を行うべきです。インターネットのメリットのひとつとして、いかなる情報にも自由に無料でアクセスできる点が挙げられます。その分利用にはユーザーの自己責任が問われるのですが、判断力の低いと思われる子供に自己責任を問うのは酷でしょう。それであれば大人が制限をかけるしかありません。こうしたサービスの利用できるプランは追加料金のないことが多いですが、中には月額料金のかかるものもあります。

こうしたソフトウェアを導入すれば、有害なサイトへのアクセスを防げます。子供の年齢や利用方法に応じて、保護者の責任でフィルターをかけるのは子供の健全な成長にとって非常に重要なことです。

子供向けの検索エンジンを使わせる

安全なWebサイトだけを検索できる検索エンジンが存在します。子供には、そうした検索エンジンのみ使用させるようにしましょう。「Yahoo!きっず」が代表例として挙げられます。

パスワード管理を厳重に行う

子供が操作に慣れるまでは、パスワードの設定や管理を保護者が行うようにルール化するとよいでしょう。どうしても子供は単純なパスワードにしがちなので、任せない方が安全です。

保護者もパスワードの使い方を注意しましょう。分かりやすいからと言って同じパスワードを複数のWebサイトやアプリなどで使い回さない、名前・誕生日・予測しやすい単語を羅列した単純なパスワードを設定しないなどの点に意識が必要です。ランダムなパスワードを自動生成するWebサイトがありますから、そうしたサイトを使って予測しにくいパスワードを作るのもおすすめです。

インターネットの利用に関するルールをつくる

子供のインターネット利用について、家庭内でルールを決めるのも大切でしょう。利用時間および時間帯、アクセスしてよいWebサイト、個人情報や書き込み内容など、話し合うとよいでしょう。

インターネット利用時のマナーについて子供に教えるのも有効です。友人だからと言って許可も得ずに公開しない、著作権のある画像・映像・音楽などを無断でアップしないなど、覚えるべきマナーは数多く存在します。なにがOKでなにがNGなのか、判断基準を教えてあげましょう。

親子でセキュリティ対策を学びインターネットとうまく付き合おう

インターネットが便利だからと言って、全く自由に使わせるのは危険です。しかし危険だからと言って、インターネットを全く使わせないのも現実的ではありません。セキュリティ対策とマナーを踏まえて、子供と保護者がともにインターネットと上手に付き合う術を学ぶことが重要です。

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